サンフレ広島選手“練習場不満”発言、安芸高田市長が撤退の意向を示す「もはや22百万円を持ち出す意味はありません」
東俊希。写真:早草紀子/(C)Noriko HAYAKUSA
有料コンテンツ内で“ぶっちゃけ発言”を求められてのひと言だが…「全方位的に認識と理解がない現状を憂いていたので、とても良い機会」。
安芸高田市の石丸伸二市長が4月12日から13日にかけて、自身のツイッター(@shinji_ishimaru)で、J1リーグ・サンフレッチェ広島のMF東俊希の「みんな練習場を変えてほしいと思っている」という発言を引用した記事をリツイート。「選手のためにならないならば、もはや安芸高田市が22百万円を持ち出す意味はありません」と困惑している反応を示すと、SNSでこの発信が大きな話題を集めている。
東はDAZNの『やべっちスタジアム』に出演。サガン鳥栖戦でのドウグラスの得点シーン、チームの好調の要因、コロナ禍でのリハビリ期間の苦しんだ話などを語った。そして矢部浩之氏から「広島一筋だから話せる“裏話”」を求められたところ、「(選手)みんなが言っているのは、練習場を変えてほしいってこと」「往復2時間を無駄にしている」と語った部分が一部メディアにて強調された。
すると練習場を提供し管理している安芸高田市の石丸伸二市長が12日、この記事に反応した。
「す、すごく複雑な思いです…どうしたものでしょうか」
「>みんな練習場を変えてほしいって
選手のためにならないならば、もはや安芸高田市が22百万円を持ち出す意味はありません。
選手の希望を叶えてあげられないか、市からもサンフレへお願いしてみます。身を引こうと思うのは、どこよりもサンフレを応援している立場だからこそです」
そのように市長が練習場の提供から撤退する意向を示したのだ。
さらに翌日、改めて自身の思いを整理してまとめている。
「複雑な思いを整理してみました。
まず、個人的には東選手の見解に完全に同意します。
『練習場までの往復2時間が無駄』
↑わかる。県庁である会合はすごく嫌です。
『練習場の近くには住みたくない』
↑よくわかる。地元出身の自分も田舎が嫌で市外へ出ました」
「もっとも、練習場(サッカー公園)を提供している自治体の長としては『辛い』という思いです。
市は公共施設であるサッカー公園に毎年22百万円を投じています。人口減少で財政規模が縮小する中、様々な事業を縮小・廃止し捻出しているお金です。
予算の配分は正しかったのだろうかと責任を感じます…」
ツイッターでは、いち選手が有料コンテンツの中で“ぶっちゃけ発言”を求められてのトークであり、クラブも(他の)選手も安芸高田市には感謝しているので、市長が話を大きくすべきではないのかという指摘も。
ただ石丸市長は「プロスポーツ選手によるメディアでの発言には相応の責任が伴うという認識です。全方位的に認識と理解がない現状を憂いていたので、とても良い機会だと思っています」と答えている。
サンフレッチェ広島を応援してきたファン・サポーターの一人で、同練習場を活用する育成組織を含めてクラブを支えてきた立場でもあり、石丸市長は東の“改善要求”に、かなりのショックを受けているようだ。もちろんサンフレッチェ広島が同地にあることで、その市税を賄えている一面もあると言えるが、予算編成の変更を行う考えを強調している。