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一時首位の山口が4戦白星なし。坪井慶介が「ここからですよ」と掲げた再浮上へのポイント

レノファ山口の坪井慶介。写真:徳原隆元/(C)Takamoto TOKUHARA

東京V戦はアクシデントでハーフタイムに交代…。

[J2 23節] 東京V 1-3 山口/2018年7月15日/味の素スタジアム

 一時はJ2の暫定首位に立っていたレノファ山口だが、7月15日の東京V戦を1-3で敗れ、最近4試合で2分2敗と勝ち星がなく苦しんでいる。ただ順位は4位に落としたものの、首位の松本山雅FCとは勝点1差。今まさに踏ん張りどころを迎えていると言える。

 リーグ2試合ぶりに先発復帰したCBの坪井慶介だが、「ちょっとコンディション面で、メディカルスタッフや霜田監督と話し合い、ここで無理をしないようにという判断になりました。ケガではないです。悔しいですが……」と、ハーフタイムに大事をとりベンチに退いた。

 両チームともに上位進出を懸けた一戦、坪井は「まず落ち着いて試合に入ること。ヴェルディはボール回しがとても巧いので、一回ダメだったとしても、二回、三回と連動しながら続けてボールにアプローチする、取りに行くことが大事」という狙いを持って臨んだ。

 4-1-2-3システムのセンターバックに入った背番号2は、東京VのCFドウグラス・ヴィエイラと再三にわたりマッチアップを展開。開始6分に先制点を与えたシーンは、坪井がシュートコースを限定するポジションどりとタックルを見せたが……塞いでいたニアサイドをこじ開けられてしまった。

「(GKのミスにも見えたが?)それは栄介(藤嶋)と話し合いました。僕らの意図が違ったわけではなかった。何より(6分に失点したあと)混乱せず、やるべきことができたことがまず大切。そこからはみんなで集中を切らさず、頑張って耐えることができました。それだけに、悔しいです……」

 修正を図り、反撃態勢は整えられた。が……結果的に敗れてしまったため、坪井は前半での交代を悔やんだ。

「できればプレーを続けたかったですが、かと言って、あの状況で出て後半途中に交代になって迷惑をかけていたらさらに悔いが残ったでしょう。それに元気な選手がいたので、安心して任せることができましたから」

 そう言って坪井は肩を落とした。

「年かな(苦笑)、情けない」

 4日前の天皇杯3回戦・ジュビロ磐田戦(1-4)でフル出場していた影響も少なからずあっただろう。そしてプロ17年目、38歳の坪井は今、チームとして取り組むべきことについて、次のように語っていた。

「続けることです。基本的なところは変える必要がない。もちろん細かいミスの修正はしていかなければいけない。ただ、チームの方向性にはみんな手応えを得ています」

 続けて坪井は力強く言った。

「むしろ、ここからですよ。ここをどう乗り越えていくか。上位で戦う力が試されている」

 確かにその通りだろう。山口は昇格レースに踏み止まっている。反省と修正は大切だが、悲観する状況にはない。クラブ一丸となって、この状況を打破できるかが試されている。

 山口は23節を終えた段階で、リーグ最多40ゴールを奪っている。坪井らの加わった守備も昨季ほどの大崩れは減ったが、ここに来て失点がやや増えてきているのは修正ポイントになる。20日から開く夏の移籍ウインドウでの思い切った補強もあるか。

「しっかり、僕もやっていきます。いろいろな面で、食らいついていきます」

 湘南ベルマーレ時代に一段と日焼けして湘南の男になったと感じたが、さらに真っ黒に焼けて「山口はいい所ですよ、暑いけれど!」と、すっかり山口の男になった。

 ただ、向上心を持ち続ける謙虚で実直な坪井のスタンスは、いつになっても変わらない。

 山口にとって、J1昇格が夢から目標になろうとしている。そのミッションを本気で遂行するために、坪井は体を張り全力で闘う。

取材・文:塚越始
text by Hajime TSUKAKOSHI

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