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長野-鳥取で“誤審”、アドバンテージ後にFKが与えられる。JFA審判委員会がレフェリーブリーフィングで説明

日本サッカー協会(C)SAKANOWA

鳥取の小澤秀充が決めて同点に。JFA審判委員会「これはプレーを戻してはいけない事象」。

 J1リーグ再開を前に8月2日、日本サッカー協会(JFA)審判員会によるレフェリーブリーフィングがJFAオフィスで行われた。今季これまでの判定を巡る事象について振り返り、JFA審判委員会から詳しい説明が行われた。

 メディアを通じて、サッカーファンへ、試合中にVARルームを含む審判サイドでどのようなことが起きて、どのような決断が瞬時に求められているのか――そうした理解を深めていく機会として、このブリーフィングが定期的に設けられている。そのなかで今季起きた判定を巡る事象についても取り上げられ、“なぜ起きたのか”、“どうすれば防げたか”など議論も行われた。

 このなかで、7月16日に行われたJ3リーグ20節のAC長野パルセイロ対ガイナーレ鳥取戦でのアドバンテージを巡る“誤審”が取り上げられた。

 89分、ゴール前に持ち込んだ田村亮介がペナルティエリア手前でスルーパスを放ったが、大野佑哉の後方からの危険なタックルで倒される。そこからパスを受けた小澤秀充がシュートを放ったものの、GKキム・ミノにセーブされた。

 ただ主審は長野のDF大野に対しイエローカードを提示。そして田村がファウルを受けた地点からの直接FKを与えた。

 このあと主審は第4審などとも確認し合ったようだが、選手交代を挟み試合が数分間中断されたあと、結局、鳥取にFKが与えられた。すると90+3分、小澤がこのキックを叩き込んで、試合は2-2のドローとなった。

 このシーンだが、アドバンテージが優先され、ファウルのあともプレーが続行されてシュートに至っている。そのため、本来であれば、改めてFKが与えられることはなく、“誤審”だったと説明があった。

 ファウルのインパクトが強く、そのあとシュートに至っているものの、主審は“反則によるFK”に意識が取られていた形に(シュートより先にファウルと判定したのではと錯綜したか、シュートがゴールにならなったことでアドバンテージの定義に対する勘違いがあったか……)。限られた時間のなか、主審が副審や第4審の声に耳を傾け冷静に考える少しの余裕もほしかったか。運用ミスではないため、試合結果は変わらない。

「アドバンテージ」について『競技規則』の用語集では、「反則が起きた時、反則を行っていないチームに利益となる場合、主審がプレーをそのまま続行させられる」「反則があり、反則を行っていないチームがアドバンテージにより利益を受けそうな時、プレーを続行させる。しかし予期したアドバンテージがその時、または数秒以内に実現しなかった場合、その反則を罰する」と記載されている。

 審判委員会のJリーグ審判デベロプメントマネジャーである東城穣氏は「これはプレーを戻してはいけない事象です。解釈としては『次のプレー(で鳥取が利益を得ている)』に至っているので、戻せないということで確認し合っています」と説明があった。

Posted by 塚越始

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