A子さんを特定できていない!? 松本人志と伊東純也、女性問題の訴訟の相違点とは
松本人志氏。 (Photo by Vittorio Zunino Celotto/Getty Images)
一方は発行元、一方は女性個人を訴える。
お笑いタレントであるダウンタウンの松本人志さんに関する週刊文春と文春オンラインによる女性への性加害疑惑のスキャンダル報道を受けて、松本さんはこのほど発行元の文藝春秋社を相手取っての名誉棄損による損害賠償請求の民事訴訟を起こした。複数の報道によると、3月28日に初弁論が行われる。
今回、松本さん側は文藝春秋社に対して5億5000万円の損害賠償とともに、訂正記事の掲載による名誉回復を求める裁判を起こしたという。この件について日本テレビの『情報ライブ ミヤネ屋』が2月20日に特集を組み、そのなかで、別の週刊誌報道で性加害疑惑により告訴されたと報じられたスタッド・ランスに所属するサッカー日本代表の伊東純也が、その被害を訴えた女性二人に対し民事訴訟を行ったことも取り上げられた。
松本さん側は文藝春秋社を、一方、伊東側は女性個人を、それぞれ民事で提訴した。もちろん状況は大きく違うが、なぜ、そのように異なる対応になったのか。
番組に出演した弁護士は、松本さんサイドはA子さんらを特定できずにいるのではないかとも推測していた。あるいは「A子さんやB子さんの発言よりも、それを拡散させた文春の責任が重いと考えているという見方もできます」と説明した。一般的に名誉棄損での訴訟は、出版社や記事の執筆者が対象になるケースが多いということだ。
また、解説をした元検事の弁護士も、女性らとは後輩芸人らがやりとりしていたたため、個人を特定できずにいる可能性はあり得ると指摘。一方、訴訟を起こすため個人を特定する必要性が出れば、(通信の履歴などから)素性や素行を明らかにするため「徹底的に調査することもできる」とも説明があった。
「(出版社を訴えた場合は)『真実相当性』の論点も出てきます。(週刊誌側は)お金と弁護団がいて、やり方、戦い方を知っています。そことケンカをするよりも、当事者を直接相手にしたほうが白黒ハッキリしますし、戦術的にはA子さんらを訴えたほうがいい。ただ別の批判が出る恐れはあります」
そのように伊東側のような個人の責任を問う主張の仕方が本来望ましく、松本さん側はさまざまな影響を鑑みている可能性もあると指摘されていた。
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伊東側の弁護士は、このほど週刊誌の発行元の新潮社ではなく、刑事の虚偽告訴罪とともに女性二人を訴えている理由について、週刊誌サイドを民事で提訴した場合、名誉棄損などで得られる損害賠償金は200-300万円程度にしかならないと見ているためだと説明。加えて週刊誌が女性の発言を信じたという、いわゆる「真実相当性」にあたると判断されることもあり得るからだと見ていた。