【なでしこジャパン】北朝鮮の奇襲に苦しむ。熊谷紗希「5-4-1で中をぎゅっと締めてきた時、どこを狙っていくのか。もうひと工夫が必要」

想定外のシステムと相手の体力。第2戦は2/28国立決戦、勝ったほうがパリ五輪の出場権を獲得する大一番に。

[パリ五輪アジア最終予選 第1戦] 北朝鮮代表0-0日本代表/2024年2月24日22:04(現地16:4)/プリンス・アブドゥッラー・アル・ファイサル・スタジアム(中立地/サウジアラビア)

　女子サッカーのパリ・オリンピックアジア最終予選の第1戦、北朝鮮女子代表-日本女子代表(なでしこジャパン)はスコアレスドローに終わった。日本のホームゲームとなる第2戦は28日18時30分から国立競技場で開催され、勝ったほうがパリ五輪の出場権を掴むというスリリングな大一番となる。

　キャプテンの熊谷紗希は試合後、「負けなかったことは大きかったです。この初戦で(勝利を収めて)決めたかった気持ちもありますが……。とにかく、ビハインドなく負けなかった。この0-0の状態からホームで第2戦に臨めることはポジティブに捉えたいです」と複雑な胸の内を語った。

　立ち上がりから互角に渡り合っていた。しかし北朝鮮の鋭いプレッシングなどプッシュを浴び続けた。中東の環境下、その相手の体力は次第に落ちてくるだろうと予想された。ところがむしろ後半、より押し込まれ、日本はチャンスを作り出せなかった。

「前半は相手の攻撃を受けることはなかったですけど、後半はプレッシャーをかけられなくなり、前へ行けず、押し込まれてしまった印象が残りました。それが北朝鮮の狙いで、後半ピッチ内で修正できなかったのはもったいなかったです」

　改善しようと試みたものの、むしろそのギャップを突かれ、カウンターから裏返されてしまう。最後まで北朝鮮のほうが試合の主導権を握ったまま、90分間が終わった。

「どちらかというと回されている感というか、押し込まれている感があって。なかなか前に出られなかった時間が続きました。自分たちの守備が自分たち主導でハマるように。チームとしてもう一度、持つべきものはあるのかなと思います」

　北朝鮮は4-4-2が基本布陣だったが、今回5-4-1の”奇襲”を仕掛けてきた。そのクサビ型の陣形を打開できず、それだけに相手の隙を狙いたかったセットプレーからも……なかなかチャンスを見出せなかった。

「後半押し込まれた時、ちょっと受けてしまった印象と、向こうは5-4-1で中をぎゅっと締めてきた時、どこを狙っていくのか、もうひと工夫が必要になってくると思います。4-4-2に対する準備はしてきていたのですが……。こういった形で戦ってくると判断材料が一つ増えたなか、自分たちが狙うところをもう一度明確にしたい。次は点をとらなければいけない。勝つしかない。本当にそこに向けて全力でやっていきたいです」

　負傷者の不在が強く感じられた。遠藤純、宮澤ひなたがいないため、ボールの収めどころを作れなかった。加えて猶本光のセットプレーやキックから周囲の良さを引き出す特長も、ここ一番でほしかった要素になってしまった。

　もちろん、そんなことを嘆いている状況ではない。新たなヒロインが出て来るチャンスでもある。

　最後倒れ込みながらもフル出場した左サイドバックの18歳、古賀塔子の状態は心配される。田中美南までボールが入らず、入ったとしても強烈なプレスを受けて起点なりきれなかった。第1戦で抽出された課題を、どのように解決へと導くのか。

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　スコアレスドローでホームに帰れることを前向きに捉えたい。2月28日の運命の国立決戦、池田太監督の采配もまたポイントになる。