【浦和L】三度の大ケガ乗り越えた清家貴子「運がいい」とパリ五輪へ
日の丸に「金メダル」と記して掲げる浦和LのなでしJAPAN清家貴子。写真:佐藤亮太/(C)Ryota SATO
WEリーグMVP&得点王、最高のタイミングで「金メダル」獲得に挑む。
日本サッカー協会は6月14日、パリ・オリンピックに臨むサッカー日本女子代表(なでしこジャパン)のメンバーを発表し、WEリーグ連覇を果たした三菱重工浦和レッズレディースからはリーグMVPに選ばれたMF清家貴子(Kiko SEIKE)、DF高橋はな(Hana TAKAHASHI)の二人が18人枠で選出された。またDF石川璃音はバックアップメンバーの4人に入った。
浦和レッズ主催によるメンバー発表後の記者会見に登壇した清家(高橋はスケジュールの都合により欠席)は「去年のワールドカップでベスト8敗退を喫した時から、悔しさを晴らしたいと思い 、WEリーグを戦ってきました。オリンピックの舞台で戦う権利を得たことは嬉しいですし、ワクワクした気持ちです」と、“勝負の1年”だったと強調した。
まさに有言実行とばかりに、清家は2023−24シーズンのWEリーグでMVP、得点王、 ベストイレブンと個人三冠を獲得。海外移籍をも決断し、初めてオリンピックの舞台に立つ。
清家のこれまでのサッカー人生は、決して順風満帆ではなかった。浦和トップチームに昇格した2015年と16年に右ヒザ前十字靱帯断裂と右ヒザ内側半月板損傷、そして21年には左ヒザ前十字靱帯損傷と、実に三度、選手生命にかかわるヒザの大ケガを乗り越えてきた。
女子ワールドカップ(女子W杯)、オリンピックの二大大会は自身にとっては縁遠いものと感じてきた。ただ 「オリンピックは外から見ていたことしかない、テレビの中の大会というイメージがありました。しかし昨年のワールドカップで世界大会の面白さ、その大きさを身に染みて感じました。(オリンピックは)テレビのなかの舞台から目指すべき場所になりました」と、目標に切り替わった。
そしてWEリーグ記録となる10試合連続ゴールを記録するなど、とにかく勢いに乗る清家は「自分のサッカー人生でもいいコンディションでできています。このタイミングでオリンピックが開催され、メンバーに選出されたことは運がいいというか……周りにも感謝したいです」と、自身やチームの結果・成績とともにコンディションなど全て整い、むしろ自信を持ってパリへと乗り込む。
また、18人の選出メンバーでは、かつて浦和に所属したGK平尾千佳、DF熊谷紗希、北川ひかる、南萌華、MF長野風花も選ばれた。 そのなかで、清家は若手時代、苦楽をともにした北川、長野らとの日々を懐かしがった。
「当時、レッズレディースのサブ組でずっとやっていたメンバーで、お互いに『やってやろう』と燃える気持ちがありました。試合に出られなくても腐らず、熱くやり続 けた結果が代表選出につながったと思います。今回、一緒に戦えるようになり、本当に感慨深いです。会った時によく話しますが、『 あの時一生懸命やって良かったな』と改めて感じました」
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ウイング、センターフォワード、ウイングバックなど複数のポジションで起用されることが予想される。目指すはWEリーグに続く大会得点王であり世界一――。日の丸の旗に力強く「金メダル」と記した。
取材・文/佐藤亮太