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【浦和-広島】スキッベ監督猛抗議、なぜ渡邊凌磨はハンドではなかったのか? 競技規則上は「偶発的であっても…」

広島のスキッベ監督。写真:早草紀子/(C)Noriko HAYAKUSA

主審がしっかり説明をしても良かったか。また、審判員によってはハンドだった可能性も?

[J1 36節]浦和 3–0 広島/2024年11月10日15:00/埼玉スタジアム

 J1リーグ36節、浦和レッズが松尾佑介、ブライアン・リンセン、原口元気のゴールで、サンフレッチェ広島に3-0の勝利を収めた。浦和はJ1残留確定。首位ヴィッセル神戸が東京ヴェルディと1-1で引き分けたたため、広島は勝てば1位に立てたものの2位のままだった。

 先制点は前半終了間際の45分、松尾佑介が中野就斗のクリアミスを見逃さず、左足で突き刺してみせた。

 このシーン、浦和が攻撃に入ったAPP(アタッキング・ポゼッション・フェイズ)で、渡邊凌磨の左足に当たったあとのボールが右腕に触れているように見える。しかし、そのままゴールは認められた。

 そのため広島のミヒャエル・スキッベ監督は、ハンドのファウルでゴール取り消しではないかと主張していた。

 IFAB(国際サッカー評議会)の定める2024-25シーズンの競技規則上、定められているハンドの反則は「手や腕をボールの方向に動かし、意図的に触れる」「手や腕で体を不自然に大きくして、その部位でボールに触れる」の2点のみ。

 そのなかで解釈が細かく定められている。

 そのうち「偶発的であっても、ゴールキーパーを含め、自分の手や腕から直接」、または「偶発的であっても、ボールが自分の手や腕に触れた直後」、それぞれゴールが決まった場合は、ハンドの反則になるとも明記されている。

 そのため広島サイドは、偶発的であっても腕にボールが触れたあとゴールが決まっているため、無効ではないかと主張していたのだろう。

 しかし今回、渡邊の左足に当たったあと腕にボールが触れているのは、”偶発的(アクシデンタル)”のため、基本的にハンドには該当しないという判断になったようだ。

 そして、そのあと右サイドに展開されて、関根貴大のクロスを松尾が決めた。つまり渡邊のあと、二人のプレーが介在しているため、偶発的に腕にボールが触れた「直後」にゴールは決まっていない。

 そのため前述した「偶発的であっても直後にゴールが決まった場合」には該当しないということだ。渡邊の腕にボールが当たった直後、自らシュートしてゴールしていた、あるいは腕に当たって落ちたボールを誰かがシュートを放って決まった、といった場合のみ無効になっていた。

 DAZNの解説では、ここでVARのチェックが入っていなかったという説明があったが、それは誤った情報である。VARはAPP内の全プレーをチェックしている。この腕に当たったシーンも確認したうえで、ゴールを認めている。

 ただし、審判やVARによっては、渡邊の腕にボールが当たったシーンを「意図的」にコントロールしたと見なす審判員もいた可能性は大いにある。その可能性を示唆し、OFRになっていた場合はあり得る。ハンドのジャッジは「主観」も影響するため、まず目の前でその事象を見ている主審の判定が尊重される傾向にある。

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 また、ハンドではないかと猛抗議する広島ベンチのスキッベ監督やスタッフ陣に対して、小屋幸栄主審はテクニカルエリアから出ないようにと指示していたように見える。なぜハンドではないのか。エキサイトするのは仕方ないとも言え、主審はそのあたりを監督に対し一度丁寧に説明しても良かったかもしれない。