もしも松本人志さんの弁護士だったら…北村弁護士に“勝算”はあった!?
松本人志さん。(Photo by Chung Sung-Jun/Getty Images)
「裁判の結果によって真実が明らかになり、すっきりしたい気持ちはよく分かります。しかし…」
性加害疑惑の虚偽報道をしたとして週刊誌などに5億5000万円の慰謝料を求めたタレントであるダウンタウンの松本人志さんの民事裁判は11月8日、双方合意のうえ、訴訟が取り下げられた。事実上の終結を迎えたなか、弁護士の北村晴男氏は同29日にユーチューブ『弁護士 北村晴男ちゃんねる』で「【松本人志vs週刊文春】双方のコメントから読み解く『訴訟取り下げ』の理由はコレだ!」と題した動画を公開。そのなかで、もしも松本さん側の弁護士だったらどうしていたか!? という質問に答えた。
北村氏は動画の中で、松本さんと週刊文春、それぞれ裁判を継続した場合にはデメリットがあり、その先行きを踏まえたうえで、今回、双方の落としどころを見出したと解説した。何より女性と松本さん側の「供述」の有無やその内容だけで争う裁判になり、両者ともに、まったく先が読めなかっただろうと強調していた。
では北村氏が松本さん側の弁護士だったら、どのように対応していたか?
「供述だけで争うのかと。勝つ可能性もあるし負ける可能性もある。結果に対する責任は持てませんと、まずリスクを説明します」
勝率を引き上げる特別な一手を繰り出す――。そういうことはないという。
「『私が代理人弁護士だから(他の弁護士と)違う行動が取れます』とは到底言えない事件です。訴訟で負けるのは弁護士のリスクではなくて、依頼者本人のリスクです。例えば、女性側が必ず尋問に出てこないとか、女性が尋問に来るけれども支離滅裂な証言をして到底信用されないとか、それで100パーセントに近い確率で勝てる。そういうことまでは見通せません」
弁護士であれば、“最悪のシナリオ”も説明するべきというスタンスを示す。そのうえで訴訟を起こしたいというのであれば、最善を尽くすということだ。
「『訴訟は最後までやるべきだ』というような無責任な説得は到底できません。もちろん一般の皆さんが裁判の結果によって真実が明らかになり、すっきりしたい気持ちはよく分かります。
しかし訴訟に携わる弁護士としては、リスクを感じて『和解』なり本件のような事実上の訴訟外の和解、(訴訟)取り下げをするかどうかについては、双方の利害を調整してやらざるを得ないのかなと思っています」
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白黒なにもかもがハッキリせず、モヤモヤしたままなのは理解できるという。ただし訴訟に持ち込まれた場合、法律の専門家の立場からも、今回の取り下げは、少なからず十分にあり得た決着の仕方だったということだ。