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【浦和】興梠慎三が引退セレモニーで「サポーターに3つのお願い」。天皇杯の問題行動にも言及

興梠慎三。写真:上岸卓史/(C)Takashi UEGISHI

「サポーターは僕にとってのヒーロー。ヒーローは格好よく、憧れの存在であってほしい」

[J1 38節]浦和 0–0 新潟/2024年12月8日14:00/埼玉スタジアム

 J1リーグ38節、浦和レッズ 対 アルビレックス新潟の一戦はスコアレスドローに終わった。浦和は1ポイントを加えて勝点48に伸ばし、13位でフィニッシュした。

 この試合後、FW興梠慎三、DF宇賀神友弥の引退セレモニーが行われた。

 鹿島アントラーズ時代を含め現役20年、浦和では通算11シーズンを戦い38歳でスパイクを脱ぐ決断を下した興梠はあいさつの中で、「サポーターの皆さんに3つお願いがあります」と、ゴール裏をはじめスタンドを埋めた観客に訴えた。

 一つ目は「今シーズン、天皇杯を戦えませんでした」と切り出し、昨季のサポーターの暴動行動により天皇杯の出場権を剥奪されたことに言及。「天皇杯はなかなか出場機会を得られずにいる若手がチャンスをもらえる大会でもあり、そのチャンスを潰してしまったことは、心のどこかに刻んでおいてください」と訴えた。

 興梠は問題を起こしたサポーターが浦和を応援していた時間は自分が在籍していた期間より長かったはずで、「もちろん不甲斐ない試合をした選手の責任でもあります。ただ、これ以上、そのような形で二度と浦和を愛している人を失いたくありません」と訴えた。

 浦和のエースは「あなたたちサポーターは僕にとってのヒーロー。ヒーローは格好よくなければいけない。格好いい行動と言動をして、みんなの憧れの存在であってほしい」と、誰からも誇られる存在になってほしいと呼び掛けた。

 二つ目として「今季は残留争いをするようなチームになってしまいました。来季は優勝を争うようなチームになれると信じています。選手たちを信じ、今まで通り熱い声援をお願いします」と、変わらぬサポートを求めた。興梠と宇賀神友弥は、その栄光のために支えたいと“後方支援”を約束した。

 そして最後に――。興梠は2013年に鹿島から加入した時「禁断の移籍として受け入れてもらえず、たくさんの手紙をもらいました。『お前のようなやつが来るな』という内容ばかりでした。そういう人たちを自分のプレーで見返してやろうと、強い気持ちでやって来ました」と当時を振り返る。

 興梠は2013年3節、アウェーでの大分トリニータ戦で初めて自身のチャントが歌われたことを今でも鮮明に記憶しているという。

「少しでも自分のことを認めてくれたと思い、本当に嬉しかったです」

 そのように語った興梠はゴール裏のサポーターに向かって、「最後に自分のチャントをもう一度だけ聞かせてもらえないでしょうか」と“リクエスト”した。

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 これが現役生活最後のお願いに。これに応えたレッズサポーターは心のこもった熱い興梠のチャントを最後に歌い、背番号「30」の新たな出発へその背中を押した。