×

西村雄一氏、主審として最も印象に残ったのは2011年の震災復興チャリティマッチ「誰もが喜んだカズさんのゴール。人生でたった一度の瞬間でした」

「主審っぽいポーズを!」という難しいリクエストに応えた西村雄一氏。(C)SAKANOWA

「全ての人が喜んだゴールでした」

 2024シーズンを最後にプロフェッショナルレフェリーを勇退し、来季から日本サッカー協会(JFA)の審判マネジャーに就任する西村雄一氏が12月19日、JFAハウスで取材に応じて、これまでの思い出とともに、審判マネジャーとしての抱負などを語った。

 国内では1999年から2024年までJリーグ682試合の審判を担当(J1リーグ:主審407試合、副審15試合、J2リーグ:主審161試合、副審14試合、J3リーグ主審3試合など)。 来季からトップリーグの担当を外れるが、2級審判員としての活動は続ける。今季まではJリーグの試合が最優先される生活だったが、来年からはグラスルーツを含めて主審も担当できるという。

 そのなかで、西村氏は主審として担当した中で最も印象に残っている試合として、2011年3月29日に長居スタジアムで行われた東日本大震災のチャリティマッチ『日本代表 vs JリーグTEAM AS ONE(Jリーグ選抜)』を挙げた。

「特別な試合でした。東日本大震災のあと、一旦ストップしたサッカー界が再スタートを切るチャリティマッチのレフェリーを担当しましたが、忘れられない試合になっています」

 西村氏が日本代表の試合を担当することは基本的にない。そして、その試合で、”奇跡の瞬間”に遭遇したという。

「日本のサッカーファンの皆様が心を一つにして、また前へ進もうという試合でした。私は日本人なので、日本代表の真剣な試合は担当できない立場にあります。あの時は日本代表の選手たちが本当に真剣にプレーする姿を間近で体感できて、そして三浦知良選手がゴールを決めました」

 試合は日本代表が前半の岡崎慎司と遠藤保仁のゴールにより2-1で勝利。カズは82分、Jリーグ選抜唯一の得点を決めた。

「全ての人が喜んだゴールでした。誰もが喜ぶゴール。その瞬間は、僕の人生の中でもたった一度しかありませんでした。あのゴールをピッチ上で味わえて、忘れられない試合になっています」

 ワールドカップ(W杯)など数々のビッグマッチも担当してきた。ただ西村氏はそんなドラマチックな瞬間を味わえたチャリティマッチを「忘れられない試合」に挙げた。

Posted by 塚越始