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浦和勝利の舞台裏。岩波拓也が明かす「マリノスのレフティ封じ」

浦和レッズの岩波拓也。写真:徳原隆元/(C)Takamoto TOKUHARA

左に揃う天野、扇原、山中の技巧派対策が奏功。

 浦和レッズのDF岩波拓也が9月16日の横浜F・マリノス戦(〇2-1)で、「複数いるレフティからのパス」を警戒していたと明かす。まず彼らからパスを出させないこと、それでもボールを持たれたら縦のパスコースを切ること、そういった対策が結果的に功を奏した。

 岩波は3-4-3の右ストッパーでフル出場。相手は4-3-3を採用してきたことで、守備時はウイングの遠藤渓太に仕事をさせないようにしながら、天野純や山中亮輔の飛び出しにも対応した。

「相手は左サイドに良い選手が揃い、左利きの選手がたくさんいました。あまり自由にさせると良いパスが出てくるので、できるだけ高い位置まで出て競り合うようにしていきました」

  3バックの一人が余る状況にして(二人余る状況にはしないようにして)、基本的にストッパーのいずれかがアグレッシブにボールサイドへプレッシャーをかけるという狙いだ。そのようにして後ろから前線まで守備をハメ込んでいった。

 天野、山中、そしてアンカーの扇原貴宏と横浜FMには技巧派のレフティが揃う。確かに試合を振り返ってみると、彼らが自由にボールを持つ機会や、決定機を作り出すシーンはほぼなかった。そこまで複雑な守備のやり方ではなく、むしろ基本的と言える。ただ、この日は退席処分によりベント外だったが、オズワルド・オリヴェイラ監督の”狙い”を共有し合い、体現できていたと言えた展開だった。

 一方で岩波は課題も感じ取っていた。

「最近負けが続いていたので、失点しないことが仕事でした。それだけに1失点したことは反省点。ただ、ボールを奪ったあとにバタバタすることが多かったので、もっとパスをつなげられればチームとしても楽になると思いました」

 守備から試合に入る。そのスタンスは浸透してきた。ただ、なかなか継続して迫力ある攻撃を繰り出せずにいる。

 ファブリシオの負傷による長期離脱というアクシデントがあり、この日は柏木陽介が欠場した。とはいえ、縦にシンプルにゴールを狙うなかでも、そろそろ攻撃面で、この浦和でしかできないオリヴェイラカラーを見せていきたいところだ。

取材・文:塚越 始
text by Hajime TSUKAKOSHI