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「イニエスタが出ても、出なくても」。ガッテン弾の武藤雄樹が明かす神戸対策

ヴィッセル神戸のアンドレス・イニエスタ。(C)SAKANOWA

監督交代によりシステムも読めず、流動的に対応する。 

[J1 27節] 浦和 4-0 神戸/2018年9月23日/埼玉スタジアム2002

 超満員5万5,689人の大観衆の前で浦和レッズが4ゴールを奪い、ヴィッセル神戸に快勝を収めた。

 埼スタを埋めた観客の最大の注目の的だったFCバルセロナからヴィッセル神戸に今夏加入したアンドレス・イニエスタが、結局、足の付け根に違和感を抱えているためメンバー外となった。その欠場もあり得るという情報を、浦和はもちろん把握していたが、「金曜日頃には『イニエスタがケガで出られないかもしれない』と聞いたが、試合当日メンバーが発表されるまでは正確に分からなかった」と浦和のオズワルド・オリヴェイラ監督は説明していた。

 加えて、神戸の吉田孝行前監督が更迭され、フアン・マヌエル・リージョ新監督の就労許可が下りるまで、林健太郎暫定監督が指揮を執ることになった。神戸はこれまで4バックがベースだったが、「監督も代わったので必ずどこかを代えてくる。3バックを採用するのでないか、という情報も入っていた」(岩波拓也)。

 イニエスタは出るのか、また、3バックもあり得るのか。

 浦和はイニエスタが出ると想定し、青木拓矢、柏木陽介、長澤和輝と3人のボランチで中盤を固める形を採用。イニエスタが出場してきた場合には、誰かが必ずマークにつき、加えて3バックにも、4バックにも対応するという算段だった。

 相手のミスを見逃さず3点目のゴールを決めた武藤雄樹はこの日の『神戸対策』について、次のように振り返った。

「メンバー表が発表されたとき、4バックにもなり得るメンバーだったので、試合開始時にしっかり確認して対応しようという話はしていました。中盤に力のある3枚がいるので、しっかり抑えるという部分はあり、(4-3-3の)インサイドハーフをそのまま置いてくるのかなというのはあったので、イニエスタ選手などが真ん中で来た場合にはしっかり3枚で止めるという狙いはありました」

「前からガツガツはめるというよりも、中盤の選手をまず自由にさせないという意図。かなり流動的なところはありました」

 武藤は役割が「流動的」だったと説明していた。

「僕が流れによっては、後ろに下がって(守備時に最終ライン)5枚、(中盤)4枚と、いつもの形(3-4-2-1)になるような、そこは僕の感覚に任されているところもありました。そこを考えながら、相手の嫌がる状況を、みんなで作り出せることができました」

 臨機応変な対応力の差も、浦和は見せつけた。そのなかで、武藤のリーグ2試合連続となるガッテンゴールも決まった。勝点38の浦和は8位浮上で、ACL出場権の3位FC東京と勝点5差まで縮まった。その背中は、しっかり捉えた。

浦和レッズの武藤雄樹。写真:徳原隆元/(C)Takamoto TOKUHARA

取材・文:塚越始
text by Hajime TSUKAKOSHI

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