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【浦和】トスン移籍騒動、レンタル中「4人」で問題なしのはずが…FIFAルールの落とし穴か

トルコ代表でのトスン。※トスンのインスタグラム(@cenktosun)より

二人の移籍が引っ掛かった!? 一人はすでに退団しているが…。

 J1リーグ浦和レッズが獲得オファーを提示していたと言われる同国1部(スュペル・リグ)フェネルバフチェSKに所属するトルコ代表FWジェンク・トスン(Cenk Tosun)だが、Jリーグの冬の移籍マーケットの期限となる3月26日までに、この移籍は実現しなかった。

 浦和とフェネルバフチェは7月までの期限付き移籍で合意。あとはメディカルチェックなどを経て、加入が決定すると見られていた。しかし、結局トスンはトルコに残留することになったと現地で報じられている。

『トルコ新聞』は3月27日、FIFAの定める期限付き移籍のルールに抵触したため、浦和がITC(国際移籍証明書)をFIFA(国際サッカー連盟)のシステムから申請したものの「承認されなかった」と報じた。

 FIFAとJリーグはそれぞれ移籍ルールを定めている。国際間の移籍に関しては、FIFAルールが適用される。

  FIFAの国と国をまたがるレンタル移籍のルールでは、2022-23シーズン、クラブはシーズン中に最大8人のプロフェッショナル契約を結んでいる選手を貸し出し、8人を借り入れることができると定めた。これが1シーズンごとに人数が減り、2024年7月1日からは、最大6人までの期限付き移籍が、イン・アウトそれぞれに適用されるようになった。この人数が今後も継続される。

 ただし、 21歳以下の選手とクラブで育成された選手は対象外になる。1クラブから一つのクラブには最大3人までに制限されている。

 国内の期限付き移籍については、各国のルールが適用される。

 今回、フェネルバフチェが国と国をまたがり「6人」をレンタルしているため、移籍が実現しなかったというのだ。

『トランスファーマルクト』によると、フェネルバフチェの保有選手のうち現在13人がレンタルされている。しかし、このルールで見ると、現在21歳以上で国をまたがるローン選手は、6人ではなく「4人」に抑えられている。

・ジェンギズ・ウンデル(27歳)(→ロサンゼルスFC)
・リンコン(26歳)(→ハル・シティFC
・ミハ・ザイツ(30歳)(→トゥールーズFC)
・バルトゥ・エルマズ(22歳)(→マリボル)

 両クラブは、トスンのローン移籍には問題ないと捉えていただろう。

 改めてになるが、FIFAのルールは「1クラブからのシーズン中(2024年7月1日から2025年6月30日)の国際移籍はイン・アウトそれぞれ6人まで」と規定されている。

 まず、上記のリンコンは2024年12月31日までブラジルのレッドブル・ブラガンティーノに期限付き移籍されていた。これは2024-25シーズン中であり、「一人分」にカウントされていたようだ。

 さらにジョアン・ペドロは昨年9月にフェネルバフチェと契約解除し、そのあとハル・シティにフリーで加入している。ただし、フェネルバフチェとまだ契約を結んでいた2024-25シーズン当初、2024年7月末まではブラジルのグレミオに期限付き移籍していた。

 どうやら、これもシーズン中の期限付き移籍の「一人分」に換算されたことで、FIFAの定める「シーズン中の国際移籍6人まで」に抵触したと見られる。

 すでに契約外の選手も該当するのかなど、いろいろ規定の解釈はできそうである。ただ、そのあたりの”ルールの抜け道”を制限しているとも捉えられる。

 ここまで行くと、確かにFIFAに確認を取らなければ把握できなかった案件とも言えそうだ。トルコメディアではトスンの浦和移籍について、インターナショナルマッチウィークに突入あたりから、「あとは労働許可などが下りるのを待っている」と報じていたが、その段階からなかなか話が進まずにいたあたりとも合点がいく。

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 トスンは1991年6月7日、ドイツ・ヘッセン州生まれの33歳。トルコ国籍も持つ生粋のストライカータイプ。2024-25シーズンは公式戦通算17試合・2得点・1アシスト(先発は2試合)。トルコ代表では『9番』もつけて、通算53試合・21得点を記録していた。