【浦和】京都、東京V…そのサイドが狙われていた。9年ぶり6連勝へG大阪戦、原口元気vs宇佐美貴史、元同僚対決が鍵を握るか
トレーニングでの原口元気と阿部勇樹ロールモデルコーチ。写真:松村唯愛/(C)Yua MATSUMURA
もしかすると、それぞれにとって今後へのターニングポイントになるマッチアップに。
[J1 15節] 浦和 – G大阪/2025年5月6日14:03/埼玉スタジアム
J1リーグ浦和レッズは5月3日の東京ヴェルディ戦で勝利を収めてリーグ5連勝、首位・鹿島アントラーズと3ポイント差の暫定2位に浮上した。3週間前までは15位に低迷していたなか、チアゴ・サンタナの負傷もあってマチェイ・スコルジャ監督の打ち出した松尾佑介のCF起用が見事にハマり快進撃を続けている。
それまでのベースに刺激や変化を与えながら、強度や切り替えのスピードを上げていく。理想と現実を見極めて手を打っていくスコルジャ監督の采配が、目に見える結果として効果を発揮している。マティアス・ヘグモ前体制で進められた「世代交代」で起用されてきた松尾佑介、渡邊凌磨、石原広教、安居海渡らが、より勇気と自信に溢れたパフォーマンスを見せて頼もしく進化を遂げている点も目が離せない。
一方、「試合の締め方」は課題を残す。気になるのが、最近、明らかに試合終盤、左サイドが狙われていることだ。
曺貴裁監督の京都サンガF.C.戦(〇2-1)、城福浩監督の東京ヴェルディ(〇2-0)、いずれも原口元気の投入後、そのサイドから“殴り”にかかってきていた。それがスカウティングによるものなのか、選手たちの判断や流れによるものだったのかは分からない。ただ一方的に同サイドから攻撃し、完璧にポケット(ハーフスペース)を攻略されてヒヤッとする場面もあった。いずれにせよ相手チームの意図は共有されていた。失点は喫していないが、そのあたりへの浦和の対策が徹底されていないのは気になった。
数的優位に立ちながら攻め込まれた東京V戦のあと、スコルジャ監督は「数的優位に立てたことで、集中力が落ちてしまった」と言っていた。しかし「集中力」の問題だったのだろうか。
試合終盤、リードしながらもボールサイドに行けず、ラインがずるずると下がってしまう。そんな試合展開が続く。
これまで試合中にサミュエル・グスタフソンが、原口にもっと前でプレスに行ってほしいと(そこまで厳しくない口調で)伝えていたことがあった。ただ、なかなかそこでファーストディフェンスのプレスがかからない。そこでプレーが途切れた際、グスタフソンがスコルジャ監督を介して、原口と確認し合うシーンも見られた。
スコルジャ監督としては、原口の投入後、強度あるプレスからボールを奪えれば、そこでひっくり返してカウンターを発動させるという狙いが伝わる。実際、横浜F・マリノス戦ではコーナーキックの流れから、原口のスーパークロスでダニーロ・ボザのゴールが生まれた。昨年11月のサンフレッチェ広島戦での復帰後初ゴールといい、原口の持っている“エンジン”は明らかに違っている。そんなプレーを随所で見せてきた。その一発をよりコンスタントにチームに還元したい。そんな指揮官の意図も感じる。
もちろん原口自身も「できればオフェンシブな仕事をしたいが、(連勝していて)失点しないところがメインになってくるので、なかなか仕掛けるシーンは少ないなかで結果を出せて良かった」と、理想と現実のジレンマを語っていたことがある。
このあたりは整理され、しっかり噛み合う何かしらの最適解は見出したいところだ。原口も課された役割の中で、一つ突き抜けるキッカケを求めている。
ミヒャエル・スキッベ監督がベンチ入り停止だったサンフレッチェ広島戦は、最後は6バックのような陣形になり、中央をより手堅く固めたことで、広島の横の揺さぶりを封じてシャットアウトすることに成功している。あの逃げ切り方は一つヒントになりそうではある。
5月6日はホーム5連戦締めくくりのガンバ大阪戦だ。自分たちのスタイルを貫くことに重きを置くダニエル・ポヤトス監督だが、サイド攻略の対策を練ってくるかどうか。しかもフォルトゥナ・デュッセルドルフや日本代表でチームメイトだった宇佐美貴史が、原口に挑みかかってくることも大いに想像できる。
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原口 vs 宇佐美。2018年ロシア・ワールドカップ(W杯)日本代表に選ばれた二人のマッチアップや共鳴が、もしかすると、それぞれにとって今後へのターニングポイントになるかもしれない。どのようなスコアや展開で実現するのか――。一つ注目したい対決だ。
浦和がホーム5連戦5連勝、そして2016年9月から10月以来となる9年ぶりのリーグ6連勝を狙う。