西大伍が明かす…ウチダさん戻ってきて!ACL逆転劇を生んだ右サイドの程よいバランス
ACL水原三星戦で右サイドを疾走した内田篤人。逆転ゴールを決めた。写真:上岸卓史/(C)Takashi UEGISHI
ふたりで取った“やや攻撃的”なスタンス。
[J1 29節] 鹿島 – 川崎/2018年10月7日13:00/県立カシマサッカースタジアム
10月3日のACL準決勝・鹿島アントラーズ対水原三星戦のファーストレグ(〇3-2)、鹿島の2点目の同点ゴールは、右MFに投入された西大伍のファーストプレーとなるクロスにセルジーニョが合わせて生まれた。そして後半アディショナルタイムの3-2とする逆転弾は、ラストプレーに懸けてゴール前に上がっていた内田篤人のシュートが決まった。
鹿島で右アウトサイドを主戦場にする同学年30代の二人が、大逆転劇の立役者となってみせた。
83分の投入直後にいきなり大きな仕事をした西だが、「そのあとも全体的にバタバタして、とりあえず『落ち着けよ』と声はかけていました」と明かす。反撃に出る水原三星のカウンターも鋭く、一気に鹿島陣内にボールを持ち運ばれる回数も少なくなかった。
西がやや困惑(?)したのが、内田の攻め上がりだ。
「ウチダさんもすごい上がるから(苦笑)。え、それ取られたら俺が下がるんかい、と思いながらやっていました」
内田の持ち味のひとつが、相手ゴールラインまでしっかり走り切る攻め上がり。例え走って味方からボールが来なくても、一切気にせず再び自陣まで戻る。同点からさらに1点を決めるべく、そのアグレッシブさに目をみはった感じと言えるか。
「俺が行くからいいよ、とは思っていたんですが」と西は振り返ったが、結果的には、ふたりの“やや攻撃的”な程よいバランスが、逆転をもたらしたと言えた。
西のセンスと技術&キック精度、内田の運動量や俊敏性とパスセンス、そして二人に共通する試合全体を俯瞰できる能力。西がしっかりボールをためることで、内田のみならずチームとして、さまざまな攻撃の選択肢が生まれていた。
今季何度か組まれてきた右サイドの二人。この大一番の重要な場面でついに噛み合ったところもさすがだ。鹿島初のアジア制覇に向けて、二人のもう一仕事が不可欠だ。
まず10月7日、Jリーグ首位の川崎フロンターレと対戦する。西の先発が有力視されるが、こちらも見逃せない一戦になる。
取材・文:塚越始
text by Hajime TSUKAKOSHI