【湘南】ルーキー坂圭祐が坪井慶介と交わした、忘れられない「コイントスでの固い握手」
順天堂大から加入した新人DFの坂圭祐。四中工出身の大先輩、坪井慶介がつけていた背番号20を継承。(C)SAKANOWA
四中工出身だと言ったから、気を遣ってくれたのかもしれませんが。
「坪井(慶介)選手は四中工の大先輩。湘南でつけていた背番号20をいただき、坪井選手のようになれるように、負けずに頑張ります」
順天堂大から湘南ベルマーレに加入した新人の坂圭祐が、1月18日の新体制発表会見で、そのように決意を語った。
しかも昨年、ふたりが言葉をかわす機会が何度かあったという。
最初が湘南対順大の馬入での練習試合だった。キャプテンマークを巻いていたのが順大が坂、そして湘南が坪井だった。
「コイントスのとき握手をかわして、とにかく大先輩すぎてすごく緊張したんですけど、『四中工の出身です』と一言あいさつすると、『そうなんだ。よろしくね』と優しく声を掛けてくれて、それだけで嬉しかったです」
ただ、何より驚かされたのが、試合中のピッチ上での立ち居振る舞いだった。
「みんなに頼られている存在でした。コーチングの声がよくとおっていて、本当に守備の中心になっていた。ディフェンスリーダーだなって。その印象がとても強く残りました」
また、湘南の練習に参加したときにも、練習の合間に「それでいいぞ!」「頑張っているな」と励まされた。
「坪井さんはよく声を掛けてくれました。四中工出身だと言ったから、気を遣ってくれていたのかもしれませんが(笑)」
その坪井は今季レノファ山口に移籍してしまい、一緒のチームでプレーすることは叶わなかった。
「同じポジションなだけに、坪井選手から学びたいと思っていたのもベルマーレを選んだ理由のひとつでした。残念ではあります。でも、これが勝負の世界。坪井選手を越えられるように、闘っていきます」
174センチ、70キロ。身長は低いもののジャンプを生かしたヘッドの競り合いなど対人の守備が強く、それに瞬発力も武器。そのしぶといディフェンスを磨き上げれば、J1に復帰した湘南で必要とされる日は1年目から訪れるだろう。
坂圭祐。湘南の背番号20を継承する、もっともふさわしい人材と言える。山口に新天地を求めた坪井も、Jリーグの舞台で後輩と対戦する日を心のどこかで楽しみにしているはずだ。
取材・文:塚越始
text by Hajime TSUKAKOSHI