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【広島】柏好文は上位進出を誓う。J1残留が目標では「見えてくるものが限られてしまう」

柏が広島を牽引する!写真:早草紀子/(C)Noriko HAYAKUSA

5年ぶりに再会した城福監督のもと、「まだまだ成長できると実感」。

「広島は実力があるはずで、まず自信を持って力を出し切ること。今、足りないのはそこ。ピッチで躍動できるように、やっていきたいです」

 広島の柏好文はまるで自分自身に言い聞かせるように、力を込めてそう言った。2018シーズン、ビオラが復活を遂げる条件の一つに、サイドを駆け抜ける”ナンバー18”が一段と輝きを放つことが挙げられる。

 そんななか、新たに城福浩監督が就任した。ヴァンフォーレ甲府で不動のサイドアタッカーとして柏が活躍した2012、13年、チームを率いていた熱血漢だ。そして13年のシーズン終了後、柏は複数クラブからオファーが届くなか、広島に移籍。15年にはリーグ30試合4得点を記録して優勝に大きく貢献するなど、チームに欠かせない確かな地位を築き上げた。

 その城福監督との5年ぶりの”再会”について、柏は語る。

「サッカーについて考えさせられます。甲府での2年間もそのような時間を過ごさせてもらいました。また一緒にできて、久々に思い起こす感じと、個人としても、チームとしても、まだまだ成長できる実感があります。チームはこれから、もっといい状態になっていくと思います」

 一体、指揮官からどのような影響を受けてきたのか。柏は続ける。

「理論的であり、戦略家であり、こう考えて、こう動けば、こうなると、考えとプレーが一致するような適格なことを言ってくれます。それが試合で起こる場面があり、それを実感できるようになる。最初はその時間が短いけれど、長い年月を掛ければ少しずつ体に染み込んでいくと、2年間やっていたので知っています。だからチームとしても、それを感じられるときが来るはずです」

 城福監督の”ムービングフットボール”をまさに体現する、柏が貴重なアタッカーとなるのは間違いない。昨季の広島はシーズン通じて低迷し、32節のヴィッセル神戸戦(〇2-1)、33節のFC東京戦(〇2-1)の連勝で、J2降格圏を辛うじて脱出してリーグ15位で残留を果たした。ただ、柏は目標を「J1残留」に設定することはないと断言する。

「僕個人の考えからすれば、やるからには上位争いをしたい。残留争いを目標に掲げていては、そこでしか見えてくるものが限られてしまう。昨年残留争いをしたことで、周りからはそういう見られ方はすると思う。でも決してそんなことはないと、自信を持ってやっていきたい。そういう姿勢をチームとして出せるように、まず僕が率先してポジティブな姿勢やプレーを出していきます」

 加入5年目を迎える今季は、副キャプテンを務める。チームの中心選手としての自覚も強く感じさせる。2018年、柏好文が広島をこれまで以上にダイナミックに、かつぐっと力強く牽引する。

■プロフィール PROFILE■柏好文 かしわ・よしふみ/1987年7月28日生まれ(30歳)。山梨県富士川町出身。増穂SSSーフォルトゥナSC―韮崎高校―国士舘大学―ヴァンフォーレ甲府―サンフレッチェ広島。168センチ・60キロ。昨季J1・29試合2得点、J1通算185試合14得点、J2通算57試合5得点。

取材・文:塚越始
text by Hajime TSUKAKOSHI

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