柏の下平監督が交代枠を使わなかった理由は? しかし88分に痛恨の失点…
下平隆宏監督。写真:徳原隆元/(C)Takamoto TOKUHARA
ベンチスタッフと話し合い、ペースキープを優先。
[ACL GS2節] 柏 1-1 天津/2018年2月20日/日立柏
柏レイソルは天津権健戦で、常に主導権を握り続けた。そして52分にクリスティアーノの豪快なボレーで先制に成功する。そのあと下平隆宏監督は一人も選手交代をしないまま、試合は終盤に突入。しかし――88分にカウンターからパトに痛恨の同点ゴールを決められてしまった。
確かに常に柏がボールを保持し攻め続けていた。ただ、だからこそ、守備面で特にカウンターへの一層の配慮が必要な時間帯に失点を喫してしまった。
なぜ選手交代せず、引っ張ったのか――。試合後の記者会見で、下平監督は次のように説明した。
「結果論の『たら』『れば』になってしまうが、僕もこのように代えていれば良かったなとか、ここをいじっていれば失点しなかったのではないかとか、試合が終わってからずっと考えています。ただ、ゲーム中、ベンチのスタッフと相談したなかで、選手を代えるのは得策ではないだろうと判断していました」
そして優先すべきは、このバランスをキープすることだと考えたという。
「この主導権をしっかり握っていくこと、ペースを保ち続けることだと話をしていました。もちろん結果論ですので、これで結果が出なければ、私の責任であったと思います」
指揮官はそのように最終的には自身の責任であると強調した。1-1に追い付かれた直後の89分に瀬川祐輔を投入したものの実らず、ACLのホーム初陣は勝点2を落としたと言える内容になってしまった。これで通算1分1敗と厳しいスタートに。
それでも下平監督は「何もできず一方的にやられたわけではありませんでした。仕上げのところ(の意識)をチーム全体で共有し、精度を高めていく作業としっかり向き合いたい。引きずらず、すぐ迎えるJリーグ開幕に向かって行きます」と、改めて決意を示した。
取材・文:塚越始
text by Hajime TSUKAKOSHI