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なでしこケア「オンラインお悩み相談室」を開設、女子の育成年代選手やスタッフのセクハラ問題に対応

なでしこケアのワークショップ。(C)なでケア

専門家による勉強会も実施。

 日本女子サッカー選手が主導で立ち上げた一般社団法人 なでしこケア(なでケア)が昨年12月から新たな取り組みを開始した。

 一つはなでケアのメンバーが専門家とチームを組み、相談内容と向き合い解決策を模索する「オンラインお悩み相談室」を開設。もう一つは公益財団法人 日本ユニセフ協会後援のもとで行われるユニセフの「子どもの権利とスポーツの原則」や女子サッカーのスポーツ環境に関する問題について学べる学習動画の配信だ。

 なでケア創設を呼び掛けた大滝麻未氏(ジェフユナイテッド市原・千葉レディース)は現役選手でありながら、この1年あらゆる企画を練ってきた。時間をかけて準備してきた企画がとうとう動き出した。

「相談窓口を作るきっかけは、なでケアで中学生のワークショップを開催したんですけど、そこに参加してくれた中学生が実際にセクハラを超えて盗撮といった被害にあってしまったんです。あまりにも身近にこういうことが起きてしまって、セクハラ問題を自分事と捉え、取り組みたいと強く思いました」

 ちょうどその時期になでケアは選手によるワークショップを実施。このテーマを優先し、グループディスカッションを含め活発な議論を交わし、そこで多くの声が上がったのが相談窓口の設置だった。

「セクハラだけではなく、他のハラスメントやいじめなど、サッカーの中にもいろんな問題があると思います。今、女子サッカーで起こっている実情を明らかにしたということもあり、相談室という形になりました。女性特有の体の問題の相談にも乗っていこうという思いもありました。昨年の夏くらいから動き、開設にこぎつけました」

 セクハラ問題は主観に大きく左右されるため、難しい判断が必要になってくる。そこでさまざまな問題に取り組んでいる専門家による勉強会を開き、対応できるように準備を進めてきた。専門家にアドバイスを受けながら、寄せられた声と向き合っていくことになる。

「相談に乗ることで選手たちも“自分ごと”として捉えることができるようになります。どうしても日本のアスリート社会は自分たちの周りで起こっている問題に対するリテラシーが低いと感じるので、自分たちが問題意識を持ってアクションを起こせる団体になっていけたらいいなと思います」

 この相談室は12月になでケアのホームページ上にトライアルオープンした。対象は女子サッカーチームに所属するすべての女の子、育成に関わる指導者やクラブスタッフ、家族など女子サッカーに関連する全ての人を対象としている。こうした相談できる場所があることを頭の片隅に置いておくことで、女子サッカー選手にとって一つの安心材料になることは間違いない。

 もう一つの試みはインスタグラムに選手たち自身が学ぶ姿を配信していく学習動画配信だ。2018年11月に発表されたユニセフ「子どもの権利とスポーツの原則」になでケアが賛同し、この学習動画配信に発展した。

「まずは選手自身がこの原則を学ぶことが大事。セクハラも子どもの権利につながってきます。2段構えにしてセクハラを学びつつ、相談室を開設するにあたってどういうことに気を付けるべきかを学ぼうと考えています。テーマによって完全にディスカッション形式だったりもするので面白いです。実際は3、4人で参加している様子が配信されるんですけど、選手の反応はすごくいいんです」

 例えば熊谷紗季(オリンピック・リヨン)は、当初のテーマのみ参加予定だったが、その後も調整がつく際には参加したいとフランスとの時差を超えて希望している。

「自分が何も知らないことに気付かされました。これまでにも子どもと触れ合う機会があり、指導する機会はありましたが、現場の子どもたちの声に直接触れることはありませんでした。子どもたちの声にしっかり耳を傾け、アドバイスを送れるように私たち選手も学んでいくべきですね」

 また保育系に興味があるという松原有沙(ノジマステラ神奈川相模原)も熱心に聞き入っていた。

「子どもたちを守っていくためには家庭や学校だけでなく地域の協力も必要です。子どもたちが相談してくれることはとても勇気のいることだと思います。私たちは微力かもしれませんが、子どもたちが安心して相談できるような窓口にしたいです」

 今後はセクハラ問題、子どもだって自分を守れる、ハラスメントが起きにくい環境を作るコーチングの3テーマについて学んでいく。随時、なでケアのインスタグラムにアップされていく1本の動画は約10分間で、移動時間などに見るにはちょうどいい長さに編集されている。“知る”ことで世界は確実に広がる。難しく考えずに、まずは学ぶ選手たちの姿を覗いて見てはいかがだろうか。

なでしこケアのワークショップ。(C)なでケア
なでしこケアの勉強会。(C)なでケア

注目記事:女子サッカーの価値向上と社会貢献へ「なでしこケア」発足。熊谷紗希が代表理事に

[文:サカノワ編集グループ]

 

Posted by 早草紀子

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