2020年TOKYOへの助走。完全復活の岩渕真奈が決勝ゴール
初陣の日韓戦で、岩渕が決勝ゴールを決めた!写真:徳原隆元/(C)Takamoto TOKUHARA
「2020年に向けてと考えたとき、日本でできる大会は限られてくる。とても意味ある大会」
[東アジアE-1選手権]日本3-2韓国/2017年12月8日/千葉市蘇我球技場
膝のケガに苦しんできた岩渕真奈が、韓国戦で価値ある決勝ゴールを決め、晴れ渡った笑顔を浮かべた。2020年の東京五輪に向けて、「日本できる大会は限られている。注目も集めるし、とても意味ある」と臨んだ今大会の初戦で結果を残し、新女王の誕生さえ予感させた。
2-2で迎えた83分、中島依美のミドルがバーを直撃。「たまたま来たが、チームで狙おうと話していた」という背番号8の岩渕がこぼれ球をしっかりコントロールして沈め、これが決勝点になった。高倉体制下、地元開催初のタイトル獲得を狙い、日本は幸先よく勝点3を掴んだ。
まだ負傷の癒えぬなか、今年4月にバイエルン・ミュンヘンからINAC神戸に移籍するため帰国。「いちから見つめ直した」というリハビリとトレーニングで体を作り直した。そういった経緯があるだけに、この2017年締め括りの大会でひとつ結果を残せたことは自信になった。
しかもヨルダン戦に続く2試合連続での公式戦フル出場だ。この復活への道のりについて岩渕は、「まずサッカーが好きというのが大前提でしたが、このチームのユニフォームを着たいという気持ちを強く持っていました。そこに向けてしっかりやろうということがモチベーションになっていました」と語る。
その先に見据えるのが、2020年の東京五輪だ。
「2020年に向けてと考えたとき、日本でできる大会は限られてくる。だから、この大会は『これから』という位置付けで、とても意味ある大会。しっかりチームとしても、個人としても結果を残したかった」
岩渕にとっても、『これから』につながるゴールであり、1勝になった。そして高倉麻子監督は2020年に向けて、「2011年の世界一(ワールドカップ優勝)に辿り着いたチームは、観ているすべての人に気持ちを伝える戦いをしていた。ただその心は、それ以前の選手も、そしてそのあとに続く若い世代の選手も持っていて引き継がれている。私もそう伝えてきました。まだ進歩しなければいけないですが、新しいチームもその部分を忘れずベースに、常にトライとエラーを繰り返して進歩していきたい」と抱負を語った。2020年TOKYOの主役へ――岩渕がしっかりピッチを踏みしめ助走に入った。
取材・文:塚越 始
text by Hajime TSUKAKOSHI