【なでしこジャパン】岩渕真奈が加わり「芯」が通る。宝田沙織とのゴールは東京五輪への新たな形に
岩渕真奈が2ゴール!写真:早草紀子/(C)Noriko HAYAKUSA
パラグアイ戦に続き、11日、国立でパナマ代表と対戦へ。
なでしこジャパン(日本女子代表)が東京オリンピックイヤー初戦、パラグアイ女子代表に7-0の快勝を収めた。FIFAランクは日本が10位、パラグアイが47位で、この結果を成長の証と手放しで喜ぶのは難しいものの、収穫はあった。
パラグアイ戦のチームのテーマは「攻撃のバリエーション」だった。課題だったセットプレーから直接ではなかったものの、南萌華(三菱重工浦和レッズレディース)の代表初ゴールで先制点が生まれる。
直前の鹿児島合宿での男子とのトレーニングマッチでは攻撃のリズムに課題を残したが、岩渕真奈(アストン・ヴィラ)が入ったことで芯が通った。そして岩渕は自身の2ゴールを含め、4得点に絡んだ。そのうち岩渕の2点目は、CB起用された宝田沙織(ワシントン・スピリッツ)とのラインから生まれている。
バウンドしたボールがGKの頭上を越え、それを岩渕が体ごと押し込み、ゴールネットに絡まった。それには理由があった。
「沙織のゴールにしようかなって思っていた」(岩渕)と、ギリギリのところまで体を入れてボールをGKからカバーしていたのだ。最後は相手に押される形で押し込んだのだという。ハーフタイムに話し合っていた狙いから決まった得点でもあった。
また、中盤では中島依美、杉田妃和(ともにINAC神戸レオネッサ)、三浦成美(日テレ・東京ベルディベレーザ)らが流動的にポジションチェンジしながら好機を作り出していった。とはいえ、チームの伸びしろを感じたからこそ岩渕は、課題を挙げていた。
「流動的に複数人が絡む形が日本の生命線。自分たちの立ち位置次第なので、プレッシャーの強い相手に対しても(この形が)100パーセントできるようにしないと」
新しい攻撃の形は3月から取り組んできた成果と呼べる。しかし26本ものシュートを放ちながら7得点という結果には課題が残る。実際トレーニングでもシュートの成功率はお世辞にも高いとは言えない。これはコロナ禍でも個々で取り組める課題のはずだ。
オリンピックでは実力差のあるチームがグループステージに入り、得失点差がノックアウトステージ進出に関わってくる。11日のパナマ戦は準備の段階を含め、個とチーム、それぞれのテーマを改めて明確にしたうえで臨みたい。この状況下で来日してくれたパラグアイ、パナマ両国の代表チームに応えるためにも、1秒も無駄にせず、貴重な親善試合を全うしてもらいたい。
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[取材・文・写真:早草紀子]