U-16日本女子代表候補が合宿。明るくて逞しい28選手が貪欲にサッカーと向き合う
写真:早草紀子/(C)Noriko HAYAKUSA
狩野倫久監督のもと、集中的にコンセプトを理解。
U-16女子代表候補が11月12日から17日まで、福島県Jヴィレッジで約5か月ぶりに活動を再開させた。4月に発足したこのチームは本来であれば、2022年に開催予定だったAFCアジアU-17女子アジアカップを目指していた。しかし新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて中止となった。
このため、2019年のAFCアジアU-16女子選手権の上位チームに、U-17女子ワールドカップ(W杯)の出場権が与えられることになった。アジアからは前回大会優勝国の日本、準優勝の北朝鮮、そして開催国のインドが出場することが決定している。
アジアでの経験を積んだあとにW杯に臨みたいところだが現状は厳しいが、それでも招集された28人の選手は前向きにトレーニングに取り組んでいた。
指揮を執る狩野倫久監督は練習前に映像を見せることでコンセプトを理解させ、直後のトレーニングの意図を把握させる。そこからピッチに出てからの1時間半、とても内容が濃密だ。
攻撃の軸となる動きや、ボールを受ける際の動き出し、全てが実践を意識したメニューになっている。一つひとつのメニューに対しても飽きさせることなく工夫が凝らされ、決して時間も長く割かない。
パワー漲る選手たちはまだまだボールに触りたいようで、フリー練習になれば我先にボールに群がる。6日間という限られた期間で吸収できるものは全て吸収しようとする貪欲さが伺えた。
今回は170センチ以上の選手が7人招集され、長身の選手が目を引いた。4月、6月、そして今回と3度の招集となった谷川萌々子(JFAアカデミー福島)も168センチがるが、「今回、高い選手が4人くらい入って、FWであればロングキック、ポストプレーなども選択に加わりそう」と、チームの可能性を感じる。
元なでしこジャパンの澤穂希さんに憧れているという谷川が口にしたのが、「U-17女子W杯のMVPを狙っていきたい!」という目標だ。
ゲームメイクに長けるタレントだが、虎視眈々とゴールも狙っていくという。「個人面談でももっとシュートを狙って行こう! って言われているので、自分が決める意識を持って臨みたい」と力強く語っていた。
サッカーに貪欲なうえ、全てを楽しもうとする逞しさがこのチームにはある。目指すは世界一の奪還。U-17女子W杯は来年5月、インドで開催される。
[取材・文・写真:早草紀子]