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INAC神戸、守護神がWEリーグ優勝決定ゴールを完璧アシスト!山下杏也加「次も勝って初めてみんなと喜べる」、浦和Lとの国立決戦へ意欲

INAC神戸の山下杏也加。写真:早草紀子/(C)Noriko HAYAKUSA

大きな存在となった相棒、「タメなんだけれど…」。

[WEリーグ 21節] INAC神戸 – 浦和レディース/2022年5月14日16:00/国立競技場

 INAC神戸レオネッサが、初代WEリーグ女王の座についた。開幕から8連勝、いずれも無失点、開幕から16試合無敗――「圧勝」と言えるデータが並ぶ。

 とはいえ多くの試合は、最少得点差で逃げ切る戦いの連続でもあった。

 I神戸は2013年のなでしこリーグ以来、9年ぶりのトップリーグ制覇となる。タイトル獲得に向けて、星川敬監督が着手してきたのが守備だった

「メンバー構成的に攻撃の特長が弱いかなと感じたので、守備の構築がカギだなと」

 それが可能だったのがGK山下杏也加の存在だった。

「海外にいたので、なでしこジャパンの試合の方が情報を得ていて、正直に言うとそれほど上手い選手には見えなかったんです。ただ、その技術の高さを実感したのは実際に練習を見てからでした」

 そのように星川監督は言う。

 山下はシュートストップの鋭さに加え、俊敏性、予測にも優れていた。WEリーグ開幕を控えた2021年1月、日テレ・東京ベルディベレーザから移籍。星川は彼女の持つビルドアップ能力を生かしてチームを作った。

 ただ、その守備は山下だけで築けるものではない。その強力な相棒となったのが最終ラインの芯と言える存在にまで成長した三宅史織だ。

「彼女の存在は大きかったです。めちゃくちゃ話しましたよ。代表で何度か一緒にやる機会もあって、その時からビルドアップは上手いし、コミュニケーションは取ってたんです。あとタメっていうのも大きかったかな……史織の方が下に見えると思うんですけどね(笑)?」

 昨季までのI神戸はビルドアップのミスからボールを奪われ失点する場面も少なくなかった。その穴を山下、三宅のリードで完全に塞ぐことで、このWEリーグでは、ここまで失点わずか「6」に抑え込んでいる。

 また前期日程中、皇后杯で日テレの下部組織であるメニーナに敗戦を喫し、油断・過信は大敵であることを突き付けらえた。あの敗戦は、今一度自分たちのプレーを見直す大きなきっかけになった。

 後期日程では、最初に土をつけようと息巻いてくる相手に対し、山下は得意のロングフィードを効果的に織り交ぜた。

 それが優勝を決定した5月8日のノジマステラ神奈川相模原戦で結実。自ら持ち出したあと、前線で背後を突いた田中の足元にピタリとつけるフィードで、開始8分の先制点をアシストしたのだ。

 しかしこの守護神は優勝を少し冷静に受け止めている。

「次も勝って初めてみんなで喜べます」

 14日には2位の三菱重工浦和レッズレディースと国立競技場で対戦する。昨季のなでしこ優勝チームを大舞台で破り、文句なしの女王になれるか。

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[取材・文:早草紀子]

Posted by 早草紀子

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