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【広島】自信をつける中嶋淑乃「相手が強い方が力を出せるのかも」。パリ五輪予選2次予選初戦、インド戦で突破口となる2得点・2アシストの大活躍

なでしこジャパンの中嶋淑乃。写真:早草紀子/(C)Noriko HAYAKUSA

「自分はできるんだっていう自信がちょっとずつついてきて」

 パリオリンピック・アジア2次予選初戦、日本女子代表(なでしこジャパン)はインド女子代表に7-0の快勝を収めた。5バックで固めるインドに苦戦した日本を目覚めさせたのは、追加招集された中嶋淑乃(サンフレッチェ広島レジーナ)だった。

 左サイドに入った中嶋は持ち前のドリブルで何度も切り込んでいった。そして17分、長谷川唯(マンチェスター・シティ)のスルーパスに「最初はクロスかシュートか迷った」と言う中嶋が選んだのは左足でのダイレクトシュート。そのショットがしっかりとゴールネットを揺らし、「思い通りにいいコースに行ってくれて良かった」と安堵の表情を見せた。貴重な先制点をもたらしただけでなく、中嶋はその後も日本の2点目をマーク! さらに2アシストと大活躍し、焦れる展開の突破口となった。

 急成長株の中嶋も昨年7月の東アジアE-1選手権で初代表に選出された際には、緊張からか萎縮して本来のプレーを発揮できずに終わった悔しさがある。どこか自信なさげな消極的なプレーが目立ってしまった夏から1年を経て、なでしこジャパンに再招集された今回は、見違えるように自信あふれるプレーを見せている。

 その大きな後押しになったのが9月に開催されたアジア大会での金メダル獲得だった。

 同時期になでしこジャパンの国際親善試合があり、招集メンバー以外の国内組から作られたアジア大会用のチームに中嶋はいた。初めて会う選手も多数いたなか、メダルのかかった準決勝で「ようやく力を出せてきたところ。まだまだですけど、相手が強い方が力を出せるのかも(笑)」と中嶋は、はにかみながら大物感を漂わせる発言もしていた。

 実際に準決勝・決勝、大事な先制弾は中嶋によってもたらされたものだった。欲しいところでゴールを生み出せる力。それが、このアジア2次予選でも発揮された。

「アジア大会を経験して自分はできるんだっていう自信がちょっとずつついてきて、それが(優勝した)WEリーグカップ決勝や、今回につながってると思います」

 引いた相手のゴールを最初にこじ開けるのは容易ではない。流れを引き寄せてからのゴールと流れを呼び起こすゴールは異なる。それを初戦で体現してみせた中嶋には、力強さが備わってきた。

 アジアのオリンピック出場権は2枚。この貴重なチケットを獲得するためには、先の女子ワールドカップを戦ったメンバーに加えて、新たな戦力の突き上げが不可欠だ。中嶋が新たなエッセンスを加える存在になろとしている。

Posted by 早草紀子

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