【なでしこジャパン】俯瞰力を付けるFW田中美南「自信になりました」。王国ブラジルから2試合連続ゴールを狙う
田中美南。写真:早草紀子/(C)Noriko HAYAKUSA
23時から第2ラウンド!!
[国際親善試合]ブラジル女子代表 – 日本女子代表 /12月3日23:00(現地11:00)/シーセロ・ポンペウ・デ・トレド競技場
サッカー日本女子代表(なでしこジャパン)が間もなく、サン・パウロのシーセロ・ポンペウ・デ・トレド競技場でブラジル女子代表との第2戦を迎える。
ブラジルとの第1戦目の88分。一時2点差から3-3に追い付いた。
長谷川唯(マンチェスター・シティ)→清水梨紗(ウェストハム・ユナイテッド)→田中美南(INAC神戸レオネッサ)の連係。右からのクロスをニアで合わせて攻略したゴールは見事だった。
田中はこのゴールを喜ぶ。
「梨紗はダイレクトで蹴ることができます。センターバックとのギャップでスペースもできていて、『出して!』ってタイミングでした。最後は紙一重でしたが、決められました。自分のどこに当たるかも分からない感じで飛び込みました。いいボールでした」
体ごと投げ出しながらも、その一瞬をモノにして決める。田中の持ち味が発揮された得点だった。劣勢を強いられながら流れを変え、2点差から一時追い付けたのは、間違いなく田中の存在が大きかった。
「ブラジルがバテたからじゃないですか。それは前半のいい時間帯があったからこそ。でも強度は高かったです。だからこそ、あそこでサイドから仕留められたのは自信になりました」
中二日で迎える第2戦。「いつも狙っているのは最終ラインにできるギャップ。裏抜け一発も狙うし、自分が相手のセンターバックを釣り出せれば、そこへのパスも選択肢になります。そうやって中央を相手に意識させると、今度はサイドが空いてきます。外も中も両方強くないと世界のトップトップには勝てませんから」
そのように相手との駆け引きで“効果的なジャブ”を放てるようになったのも、田中の強みに。経験を重ね、全体を俯瞰できるストライカーになりつつある。
キックオフは現地時間では異例の11時。ここのところサンパウロは気温36度を超える日が続いている。ただスタミナ勝負に持ち込めれば、日本に分があると言える。
「(なでしこジャパンは)個々のクオリティが明らかに高くなってきているので、紗希さん(熊谷)が一つポジションを上げた4-3-3はまだここから上げていけます」
田中は2試合連続ゴールを狙う。
なでしこリーグ得点王を獲得しながらもフランスワールドカップ(W杯)落選。ドイツへの武者修行を経てのINAC神戸へのカムバック。29歳になった田中はツワモノの揃う前線で、彼女にしかない特長をチームの力に還元している。
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ここまで、余力はないと言えるほどの途轍もない努力によって登ってきた。この29歳から迸る気迫に説明はいらない。週末とあって第1戦以上の観客数が予想されるブラジル女子代表との第2ラウンド、サッカーを愉しむ目の肥えた王国ブラジルの観衆に歓声をもたらすような、彼女の痛快な一発を期待したい。