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CB起用の鮫島彩が、GK池田咲紀子とピッチ上で何度か話し合う。しかし重要なのは「その先にある詰めるべき課題」

鮫島(3番)は初めてのCB起用に応えて奮闘。写真:徳原隆元/(C)Takamoto TOKUHARA

初のCB起用で自身とチームの課題を見つける。「コミュニケーションのミスはすぐクリアになり、問題なかった……。ただ」

[東アジアE-1選手権]日本 3-2 韓国/2017年12月8日/千葉市蘇我球技場

鮫島彩がなでしこジャパンで初めてセンターバックとして出場し、チャレンジに戸惑いを感じながらも、いくつかの課題と収穫を見出した。

鮫島といえば左サイドバックが主戦場である。だが今回は合宿からセンターバックに起用されて、「(センターバックのコンビを組む)ペアを変えながら、一つひとつ学びながらやっています。手応え? うーん、それはないです。今は課題をどんどん出して一つひとつ潰して、吸収していく作業をしているところです」と試行錯誤しながら、指揮官の起用の意図を汲み取り、チームを支える作業に取り組んだ。東アジアE-1選手権の初戦・韓国戦では、『最終ラインの司令塔』として、相手の攻撃の芽を摘んでは、ビルドアップの始点になった。さっそく新たな鮫島像を見せていた。

田中、中島、岩渕弾…日韓戦の勝利を厳選写真で振り返る。

「(高倉麻子監督から求められているのは?)スピードでカバーとかそういうところ処理できるようにというところだと考えています」と理解し、3-2の勝利を収めたものの試合内容については「ボールを持てる時間がかなりありましたが、ちょっと後ろが重たかったかなと。ボランチの位置を下げさせすぎてしまった。もうちょっとDFラインで相手のFWをはがして、前にボールを付けられればと思いました」と振り返った。

課題が出たことはむしろ収穫に挙げられる。試合中、GK池田咲子と何度か話し合いをしていたシーンについては、次のように語った。

「コミュニケーションのミスだったので、そこは話し合ってすぐクリアになり、問題はなかったんです……。ただ」

鮫島が感じていたのは、その先にある課題だ。

「前線からどう追い込んでいくのか、どのように(自分たちの)プレーを切らさせないようにするのか。そういったところを詰めていかないといけない。例えば相手FWに動き出しの上手い選手がいるとか、とても足の速い選手がいるとか、そうなると、多分まだ自分たちでは対処しきれないところがあると感じました。チーム全体でどのように追い込むのかハッキリさせていきたいです」

なでしこジャパンの抱える重要なテーマを早くも抽出していた。それを90分で体感し、チームのために改善しようとし始めている。高倉監督の鮫島センターバック起用の効果は、さっそく出ている。

取材・文:塚越始

text by Hajime TSUKAKOSHI

 

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