リバプール南野拓実にそれでもチャンスはある!3戦出番なし、ライバルがゴール量産
リバプールの南野拓実。※リバプールの公式ツイッター(@LFCJapan @LFC)より
ポルトガル代表FWジョッタがブレイク、スイス代表シャキリも2列目で評価を高める。
リバプールFCの日本代表FW南野拓実は2020-21シーズンに向けて、滑り出しは悪くなかった。8月29日に行われたコミュニティ・シールドのアーセナル戦では59分に1-1に追い付く自身公式戦初ゴールを決めて脚光を浴びた。さらに9月25日のカラバオカップ3回戦のリンカーン・シティFC戦では3得点(2得点・1アシスト)に絡む活躍を見せた。
しかしプレミアリーグでの出番は限られ、新加入のポルトガル代表FWディオゴ・ジョッタがここ数試合、大活躍を見せている。さらにはスイス代表MFジェルダン・シャキリも調子を上げる。それを受けて、南野はチーム内での序列が下がってしまった。
リバプールは今夏の移籍市場で、ウォルバーハンプトン・ワンダラーズFCからジョッタを4500万ポンド(約61億円)で獲得。サディオ・マネ、ロベルト・フィルミーノ、モハメド・サラーの強力3トップに次ぐタレントがなかなか確立できずにいたなか、獲得を躊躇うことはなかった。
ウイングとセンターフォワードをこなす23歳のジョッタは、リバプール加入後公式戦11試合(590分)に出場し7ゴールを奪取。直近5試合で6ゴールを決めている。フィルミーノの調子がまだ上がってきていないなか、当初ウイング起用が多かったが、ここ最近はCFでの出場が増えている。ユルゲン・クロップ監督もジョッタについて「トレーニングでの状態も良く、素晴らしいパフォーマンスを保っている。ジョッタをピッチに送り出すのは簡単な決断」と絶賛している。
一方、25歳の南野は10月28日に行われたUEFA欧州チャンピオンズリーグ(CL)のグループステージ(GS)2節のFCミッティラン戦で、4-2-3-1のCFとして先発。ボールタッチ数29回はスタメン選手の中で最も少なく、ボールロストも目立った。放ったシュートは1本のみで60分で途中交代となり、パフォーマンスはこの試合で決勝点を決めたジョッタとは対照的だった。
すると南野はミッティラン戦以降、公式戦3試合で出番を失った。
11月8日のマンチェスター・シティ戦(△1-1)では今季初めてメンバー外となった。一方その間ジョッタは4ゴールを挙げるなど、まさに明暗がはっきり分かれている。
加えて夏には一時放出候補と言われたシャキリが好パフォーマンスを見せている。10月31日のプレミアリーグ7節、ウェストハム・ユナイテッドFC戦(〇2-1)では70分にジョッタとともに途中投入されると、トップ下として、ジョッタへのスルーパスで決勝点をアシスト。新たなホットライン誕生の予感を漂わせた。
結果を示した選手が優先的に使われ、そうでない選手が使われないのは必然だ。現状、南野の状況は後者にある。
しかしこの現状だけで、南野がリバプールで出番を完全に失ったと見なすのは早計だ。
長いシーズンのなかで調子の良し悪しがあり、南野の不調とジョッタやシャキリの好調のタイミングが今は被っている。そのジョッタも昨季ウルブズ(ウォルバー・ハンプトンの愛称)ではリーグ戦9試合ノーゴールという時期が2度あった。誰にも浮き沈みはある。
とはいえ、ジョッタとシャキリがこれだけインパクトのある活躍を見せるなか、南野の結果が物足りないのは事実だ。南野がリバプール移籍後公式戦23試合かかって挙げたゴール数(3ゴール)を、ジョッタはたった10試合で上回っている。
南野の出番は、リバプールが4-2-3-1の布陣を採用し、サラー、マネ、フィルミーノ、またはジョッタやシャキリと共存する形に限定される。また、プレミアリーグの交代枠は「3」のため、ジョッタ、シャキリの壁をもう一度越えないと、ピッチには立てない。
ただ、南野にいずれかチャンスが巡ってくる。そこから継続して試合に出続けるには、今度こそ「結果」が明確に求められる。
11月の代表ウィークが終わるとリバプールは2021年の年始まで、ほぼミッドウィークと週末に試合が組まれる。かなりの過密日程だ。
この2か月が、レッズの18番にとって重要な、勝負の時期になると言える。
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[文:小林優麻]