札幌MF荒野、寒がる少年に自分のジャージを着せる

湘南戦での入場後の整列中、札幌の荒野(27番)がさりげなく寒そうにしていた少年にジャージを着させてあげた。(C)SAKANOWA

開幕・湘南戦の入場時、少し気になっていたエスコートキッズに。

[J1 1節] 湘南 2-0 札幌/2019年2月23日/Shonan BMWスタジアム平塚

 湘南ベルマーレ対北海道コンサドーレ札幌のJ1開幕戦での一コマだった。

 ボルテージが最高潮に達する、Shonan BMWスタジアム平塚で迎える2019年最初の試合の選手入場。アンセムに乗せて、ベルマーレグリーンに包まれた大観衆のなか、両チームのキャプテンを先頭に、両チームのイレブンがエスコートキッズとともにピッチに立つ。

 湘南と札幌、22人の選手が整列する。すると札幌のMF荒野拓馬が前に立っている少年に「大丈夫?」と声を掛ける。そして自身のジャージを脱いで、その少年に着させてあげた。

「ちょっと入場する前から寒いと言っていて、ピッチに入ってからも寒そうにしていたので。風邪をひかせてしまうわけにはいきませんから」

 そのように荒野は、ごく当たり前のことをしたまでと語っていた。気持ちの高揚するその場面で、そんな少年の”異変”に気付き、気遣うだけではなく即ジャージを渡す。行動にすぐ移せるあたりはさすがだ。

 少年にとっても、選手と触れ合えただけではなく、着用しているジャージに袖を通せる機会など普段はあり得ないだけに、貴重な思い出になったのではないだろうか。

 荒野にとって、プロ8年目にして初めてのJ1開幕スタメン出場となった。しかし、チーム全体の走力が後半に落ちたところで、失点を重ねて敗れてしまった。

「点を取り切れず、とにかく悔しいです。しっかり崩し切って、点を取って終わる、シュートで終わる、ということを繰り返せれば、今日も絶対に負けていなかった。本当に悔しいです」

 荒野は自分自身のプレーも”チャレンジ”を欠いたと反省していた。

「味方が動いたところでのチャンスを逃していたなと。そこを逃さず配球することが大切でした。いいプレーは何回もできていたので、ゴールをこじ開けるところだけが課題。僕もシュートを打てる場面があったので、打っていかなければいけませんね」

 湘南のホームゲームであり、1万3249人の大観衆で埋まった。そのなかで、札幌のジャージを着させてもらい驚いた少年――。湘南のサポーターではあるけれど、荒野のファンが一人(以上)増えただろう。

取材・文:塚越始
text by Hajime TSUKAKOSHI

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