浦和の貴重な収穫、マルティノスが語った手応え「強みを発揮できた」
浦和のマルティノス。(C)SAKANOWA
このオフに心掛けたこととは――。
[Jリーグ スーパーカップ] 川崎 1-0 浦和/2019年2月16日/埼玉スタジアム2〇〇2
リーグ王者と天皇杯覇者が対戦する「FUJI XEROX SUPER CUP」で、浦和レッズはシュートわずか1本しか放てず、川崎フロンターレに0-1で敗れた。そのなかで、浦和にとって貴重な収穫となったのが、81分から途中出場した2年目のマルティノスだった。
左サイドから再三にわたって積極的に仕掛けて揺さぶり、川崎を脅かした。横浜F・マリノスで元同僚だった山中亮輔とのコンビネーションも効果的だった。得点は生まれなかったものの、今後、貴重なカードとなってきそうだ。
試合後、マルティノスは次のように振り返った。
「自分の強みを発揮することができたと思います。前線からプレッシャーを与えたり、スピードを生かして仕掛けたり、それに山中選手とのコンビネーションを生かしたり。自分が入ったことで、川崎は前へ出てこれなくなったと感じました」
試合には勝てなかった。ただ、今季のマルティノスは一味違う――というインパクトを残せた。
「今シーズンの1試合目から出場できたことは自信につながりました。ここからチームとして、どんどんレベルを向上していかないといけない。試合を観ても分かるように、後半のほうがより良いプレスがかかっていたと思います。今後もそういったプレーを続けていきたいです」
昨季は公式戦20試合1得点。リーグ10試合0得点、フル出場はわずか1試合だった。
このオフ、何か特別な取り組みをしたのか。その問いに彼は頷いて次のように言った。
「しっかりと、リラックスすることだね」
マルティノスは頷いて続けた。
「昨年いろいろあって、自分自身もいろんなことを考えすぎました。だからサッカーのことを一旦忘れて、頭をクリアにして、リフレッシュしました」
1年前は横浜FMの一員として元日の天皇杯決勝まで戦い、間もなく浦和への移籍が決まった。オフはほとんどなかったと言えた。
それだけに昨季、12月9日に天皇杯優勝を果たしてオフに突入。しっかりとしたまとまった休息の時間が、マルティノス(彼のみならず)の心身に滋養をもたらした。
「オフ中もずっとサッカーのことばかりを考えていると、どうしても気持ちの切り替えができなくなります。やはり、どこかしっかり休めていなかった。だから、今回のオフはゆっくりリラックスすることに集中しました」
そしてシーズンが突入すると、状況は変わる。マルティノスは次のようにも言っていた。
「休暇は休暇。今はシーズンが始まったからね、ここからは『オン』の状態だよ。すべてをサッカーに捧げる覚悟だ。もちろんシーズン中も切り替えは大切で、世界中見渡しても、サッカーに集中しすぎてケガをしたり、病んでしまったりする選手も少なくない。そういったシーズンを戦う中でのオンとオフはもちろん必要だとは感じているよ」
何より、その表情が充実感に溢れている。良い表情だと感じた。そう伝えると、マルティノスは「そうかい、有難う」と言って、肩の力を抜いて笑った。
浦和は2月23日、アウェーでベガルタ仙台とJ1リーグ開幕戦を迎える。その後、3月2日のリーグ2節・北海道コンサドーレ札幌戦がホーム初陣に。さらに6日にACL(アジアチャンピオンズリーグ)1節・ブリーラム・ユナイテッド(タイ)戦を同じくホームで行う。
取材・文:塚越始
text by Hajime TSUKAKOSHI