浦和の歴代最多得点更新、興梠慎三が掲げた次なる目標とは?
浦和の歴代最多得点記録を「92」に更新した興梠慎三。写真:上岸卓史/(C)Takashi UEGISHI
シュミットを越えたループ弾に「今思うと大きかったね」。あくまでも「レジェンドは福田正博さん」とも。
[J1 18節] 浦和 1-0 仙台/2019年7月6日/埼玉スタジアム2〇〇2
浦和レッズのFW興梠慎三がベガルタ仙台戦、技ありのループシュートを決め、これが決勝点になった。今季16試合6得点、J1歴代6位となる通算141ゴール目。そして浦和でのJ1通算ゴールを92得点と伸ばし、91点の福田正博氏を抜いて1位になった。
スコアレスで迎えた42分、右サイドで受けた岩波拓也の縦パスを受けた武藤雄樹がターンするとDFふたりを振り切り、それまで興梠についていたDFシマオ・マテを引き出すことに成功。
すると武藤の絶妙のタイミングで放たれたスルーパスに、オフサイドラインぎりぎりで抜け出した興梠が、GKシュミット・ダニエルの頭上を越える技ありのループシュートを放つと、放物線を描いたボールが静かにゴールネットを揺らした。
浦和はホーム2連勝。一方、仙台はリーグ4連勝でストップ。
興梠は14試合で15ゴール目という”仙台キラー”ぶりを発揮。その秘訣について、試合後、次のように語った。
「(仙台のディフェンダーが)自分に厳しく来ているなと感じてきました。そこで何もできない選手なのか、それでも決められる選手になるのか、そこは自分次第。そういう激しいマークが来るなかでも決めてきたことには、少しだけ自分を褒めてあげたいと思います」
そう興梠は喜ぶとともに、ゴールシーンを振り返った。
「ペナ(ペナルティエリア)のなかでどれだけ仕事をするかが重要。そこでは遊び心も必要だと感じています。余裕がないと決められない。力まず、いい具合の感覚でできている。
2タッチ目で『ループしかない』と、角度的にもそうでした。外したら自分のせい、決めたら賞賛される。そういう選択の場面。もちろん、さすがだと言われたほうが嬉しい。ただ、今思うと、あの大きなGK(シュミット・ダニエル)相手によくループを打ったなと思います。入って良かったです」
そのように浦和のエースは、決勝点を自画自賛した。
「武藤がすごくいいターンをしてくれた。そこでDFが相手に食いついたので、半分は武藤のお陰です」
これで「ミスターレッズ」の福田正博氏の91ゴールを超えて、浦和でのJ1リーグ通算ゴールを「92」に伸ばした。
「鹿島では1試合ダメだったらすぐ変えられてしまうと思っていて、心の余裕もなかった。(浦和でのクラブ歴代1位の得点数に)嬉しいですけれど、サポーターにとってレジェンドは、あくまでも福田さん。それは変わらないと思います。変えるためには、もっともっと活躍し、多くのタイトルをもたらさないといけない。次の目標は、もっとサポーターの心を動かしていくこと。そのためには、もっともっと、点を取り、タイトルを獲らないといけない」
興梠はそのように、さらに貪欲にゴールを目指していくことを誓った。
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[取材・文:塚越始]
text by Hajime TSUKAKOSHI