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【浦和】決勝弾アシストのマルティノス「一人目がファウル覚悟で来るのが分かった」

浦和のマルティノス。写真:上岸卓史/(C)Takashi UEGISHI

90+3分、「グラウンダーのパス」がクロスになり興梠の劇的ゴールをもたらす。

[J1 15節] 浦和 2-1 鳥栖/2019年6月15日/埼玉スタジアム2〇〇2

 浦和レッズのFWマルティノスがサガン鳥栖戦の90+3分、左サイドを持ち味であるドリブルで抜け出し、クロスが相手に当たりながらも逆サイドにいた興梠慎三につながり、劇的な逆転ゴールをもたらした。

「いいか、ジョーカーで使う覚悟でいるぞ!」

 試合前、大槻毅監督からそのように声を掛けられた。もちろん先発で出たい。ただ、「変化をつけられる」という自身の仕事が今のチームで求められている。そのことは理解し、浦和の勝利のために自分に何ができるかを考えた。

 80分に柴戸海と交代でピッチに立つと、左ウイングに入りまさに「切り札」としてゴールを目指した。

 両チームともにゴールを目指す展開のなか、迎えた90+3分、自陣左サイドでボールを持ったマルティノスがカウンターを発動させる。

 鳥栖の選手が止めに来るのが視界に入った。

「一人目の選手は、完全にファウル覚悟で止めに来ているのが分かった。ボールを触った瞬間、『来る』と察知したんだ。そこでプレーを止めさせないよう、一度フェイントを入れて倒れず、逆方向へ切り替えして前へ向かった。そのあと広大なスペースがあり、仕掛けていったよ」

 マルティノスは倒れなかった。踏ん張ってボールを持ち運んだことで、幸運と劇的勝利がもたらされた。

「相手が自分のスピードを脅威に感じているようだと感じていた。ボールサイドに来てかわされるのを怖がっていたようで、下がってスペースを塞いでいた。そこからプレーの選択を増やせた。(興梠へのクロスは)グラウンダーでパスを出したんだ。でも相手に当たって、良い感じで飛んでくれたので、結果オーライだったね」

 マルティノスはそのように笑った。

 陽気で明るい性格だが、サッカーに対しは真摯。一時は悩みすぎたこともあったと明かす。そしてあの土壇場で見せた意地は、新たなるマルティノスの一面を見せてくれたと言えた。

 アジアチャンピオンズリーグ(ACL)は規定によりメンバー外となっている。ただベスト8に進出すると、メンバーリストの再提出が行われるので、「そこに入るのも目標の一つ」。

 ACL決勝トーナメント蔚山現代との2試合は練習でサポートする。同時に自身は、30日のアウェーでの大分トリニータ戦に照準を当て、しっかり調整していく。大槻新体制のもと、自身の「武器」に自信を深めた浦和のマルちゃんが、牙を研ぎ澄ます。

取材・文:塚越始
text by Hajime TSUKAKOSHI

 

Posted by 塚越始

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