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【INAC神戸】FW吉田莉胡インタビュー(2/3)なでしこデビューを糧に強めた覚悟「INACの歴代『9番』は得点王ばかり。その流れを止めてはいけない責任を持っている」

首位INAC神戸の『9番』吉田莉胡。これまでWEリーグトップの9ゴールを記録。写真:早草紀子/(C)Noriko HAYAKUSA

代表チームでの刺激的な日々、一方でWEリーグの価値を高められなかった悔しさ。

 WEリーグの選手中心の構成で戦った7月に開催されたE-1東アジア選手権では、全3試合に出場した。ただ結果は1勝2分で3チームが並び、レギュレーションによって3位に終わった。

 INAC神戸レオネッサのFW吉田莉胡は、厳しい表情で振り返る。

「日の丸を背負う重圧は大きなものでした。ただ、E-1で戦えたことは楽しかったです! とはいえ経験値を積むだけでなく、WEリーグの価値をもっと示すためにも、絶対に優勝しなくてはいけない大会でした。最終戦まで優勝の可能性があったなか、優勝していればWEリーグも、そこでプレーする選手の評価ももっと高まったはずですから……」

 “経験値を積む”という言葉で濁さず、吉田は優勝を逃した意味と責任を真正面から受け止めていた。また、U-20女子ワールドカップと比べて成長を感じるのは、吉田は実力不足を憂うばかりではなかったことだ。

「E-1選手権でいろいろ経験して自信になり、代表に入ってなでしこジャパンは遠い存在ではない、とは思えました」

WEリーグ組で臨んだ東アジアE-1選手権では、なでしこジャパンデビューも果たした。写真:早草紀子/(C)Noriko HAYAKUSA

 その実感が、WEリーグ女王の座奪還に燃えるINAC神戸への挑戦へと向かわせた。

 すると吉田は前回覇者の日テレ・東京ヴェルディベレーザとの開幕戦で、移籍後初ゴールを決めた。

「チームが手探り状況のなか、“行ける!”という手応えをいち早く掴めました。何より開幕戦でベレーザに勝てたことは大きかったです。特に自分的には移籍後初の1点目は大きかった。(久保田)真生からのクロスが少し浮いて、前でバウンドして。よく覚えています」

 6節のノジマステラ神奈川相模原戦では自身初のハットトリックを達成した。WEリーグでのシーズン自己最多6ゴール目を記録。順調にスタートを切ったように見える。

「キャリアハイと言っても、これまでの結果が決して良くありませんでしたから。このチームに来た以上は点を獲らなきゃいけないし、まだまだ獲れるはずです。歴代のINACの『9番』を見ても、得点王になっている選手ばかりです。その流れを自分で止めないように、そこはしっかり責任を持ちたいです。このチームで9番をつけるのであれば、まず二桁ゴールは通過点にしないと」

 今季の吉田は、言葉選びが常に慎重だ。ハットトリックを達成した後のインタビューも表情が固かった。彼女は自分の力で奪い切ったというより、獲らせてもらっているという感覚が強いという。

「どこか獲らせてもらった、生かしてもらったっていう感じ。だから明確に自信につながらない。自分で呼び込んで引き出して点を取れればもっと違うのかもしれません。もちろんフォワードは数字が求められます。数字を残しつつ、よりこだわっていきたいです」

 そんな吉田のストライカーとしての能力を最大限に引き伸ばそうとしている人物がいる。あのなでしこのレジェンドだ――。

INAC神戸の吉田莉胡。写真:早草紀子/(C)Noriko HAYAKUSA

※連載最終3回目は10月30日に掲載します。吉田がストライカーとしての「視野」を広げるキッカケとなった出会い、“百獣の女王”レオネッサに懸ける想い、そして神戸での普段の生活について語る。

連載1回目>>【INAC神戸】新『9番』吉田莉胡インタビュー(1/3)ちふれへの感謝と覚悟の旅立ち「ずっとお世話になったクラブを、自分が強くしたい気持ちがあった」

【次回ホームゲーム】
2025/26 SOMPO WEリーグ 第12節
INAC神戸レオネッサ vs ノジマステラ神奈川相模原

▼日時:2025年11月2日(日)14時00分キックオフ
▼会場:ノエビアスタジアム神戸

◎【来場者プレゼント】
協賛企業:セコム株式会社
配布場所:入場口にて配布
☆応援タオル
☆抗菌ウェットティッシュ&オーシャンプラスチックボールペン

7月の韓国女子代表戦(1-1)に臨んだ日本女子代表のスターティングメンバー。14番が吉田莉胡。写真:早草紀子/(C)Noriko HAYAKUSA

Posted by 早草紀子