川崎MF伊藤達哉の踏みつけはレッドカード相当。OFRしながらも最終判断を誤ったケースは2件 JFA審判委員会が説明
川崎の伊藤達哉。写真:アフロ
2025シーズンのVAR運用20件のエラーの一つに挙げる。
日本サッカー協会(JFA)審判委員会は12月17日、都内のJFAオフィスで2025シーズン最後のレフェリーブリーフィングを行い、今季Jリーグの判定に関するデータをもとに今後への課題などを語った。
そのなかで佐藤隆治JFA審判マネジャー・Jリーグ担当が、J1リーグのVAR運用で今季20件のエラーが確認されたことを報告。そのうち『OFR(オン・フィールド・レビュー)を実施したものの、最終判定が誤っていたケース』が2件あったと説明した。
その一つの例として挙げられたのが、J1第37節・川崎フロンターレ対サンフレッチェ広島戦の30分のシーンだ。川崎の伊藤達哉が相手ペナルティエリア内で越道草太の足首付近を踏みつけ、主審からはイエローカードを提示された。
この判定について、佐藤氏は「選手の安全を脅かすシリアスファウル」に該当すると指摘。最終的な懲戒はレッドカードが妥当だったと、審判委員会としての見解を示した。
このシーン、攻撃側の伊藤が触ったボールがやや離れ、守備側の越道が足を伸ばしてクリアを試みていた。直後、伊藤の右足が越道の足首上部に乗る形となり、映像では足首が強く曲がる様子も確認できる。
現場ではVARが介入し、OFRによって主審が映像を確認。しかし最終的な判定はイエローカードにとどまった。
佐藤氏は、この判定に至った背景として、意図的に相手を傷つけにいったプレーではなかったことや、越道が比較的早く立ち上がった点、現場の雰囲気などが影響した可能性があると説明した。一方、判定はその意図だけで決まるものではなく、インテンシティや選手に与えるダメージの大きさが重要になると強調した。
そのうえで佐藤氏は、「足裏で相手のふくらはぎの内側をヒットしている」こと、「川崎の選手の体重が相手選手の左足に乗り、力の逃げ場を失った足首がロールダウンしている」ことを挙げて、結果として相手の安全を脅かすプレーになったと分析。VARの介入自体は正しかったものの、最終的な懲戒の判断は適切でなかったと説明した。
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越道に与えうるダメージの大きさを考慮すると、このシーンはレッドカードが提示されるべきだった――それがJFA審判委員会としての見解だった。




