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【なでしこ】谷川萌々子が戦うFCバイエルン女子の本拠地『Campus』取材記|フォトグラファーが見たトップチームとはまた異なる魅力

ハンブルク戦に出場したバイエルン女子の谷川萌々子。(C)Midori IKENOUICHI

観客数は5000人。アットホームだが、観客の熱気は十分【現地発コラム│FC BayernとMunichに恋して】

 FCバイエルン女子がアリアンツ・アレーナでアーセナルFCと対戦したUEFA女子チャンピオンズリーグを初めて撮影取材したことをきっかけに、トップチームとまた異なる楽しさを知り女子サッカーの魅力にすっかり引き込まれた。

 そこで今回、バイエルン女子の国内公式戦(女子ブンデスリーガ)を撮影しようと、初めて「FCバイエルン・キャンパス(Campus)」を訪れた。

 建物の前は何度か通ったことがあったものの、中に入るのは初めて。キャンパスは女子トップチームの試合会場であると同時に、育成組織やアマチュアチームも活動する広大な施設だ。

 すぐ隣にはドイツ連邦軍の施設や自然保護区域が広がり、都心の喧騒から離れた静かな環境にある。自宅からはほぼ平坦な道のりで、いわゆる“ママチャリ”を約45分漕いで現地へ向かった。

 試合は午後2時キックオフ。開始約1時間半前になると、キャンパス入口付近では焼きソーセージの屋台から立ち上る煙と香ばしい匂いが漂い、すでに試合ムードは十分だった。

 バイエルンの選手たちはそれぞれスポンサーから提供されるアウディを運転して続々と敷地内へ入り、対戦相手のハンブルガーSV女子は大型バスでスタジアムに到着。初訪問のキャンパスに、自然と胸が高鳴る。

 収容人数は約5,000人。7万5,000人を誇るアリアンツ・アレーナと比べれば決して大きくはないが、スタンドには熱心なファンが詰めかけ、雰囲気は熱気に包まれていた。

 巨大クラブであるバイエルンの一部でありながら、どこか家庭的でフレンドリーな空気が漂っているのが印象的だった。

 スタンドには、なでしこジャパンの一員であり、日本女子サッカーを代表する谷川萌々子選手を応援する横断幕や日の丸の旗も掲げられていた。同じミュンヘンに暮らす日本人として、その光景には強い誇りと感動を覚えた。

 ブンデスリーガ女子で首位を走るバイエルンにおいて、20歳の谷川選手は着々と主力として存在感を高めている。この日もキックオフ直後から積極的に声を出し、ピッチを縦横無尽に走り回っていた。

 試合は非常にインテンシティが高く、球際の激しさも男子と遜色ない。観客層は女性よりも男性が多い印象で、小学生くらいの男の子の姿も目立った。それだけ、バイエルン女子が地域に根付き、憧れの存在になっていることが伝わってくる。

 キャンパスの魅力は、何と言っても選手との距離の近さだ。プレー中の声や表情がはっきりと分かり、臨場感は抜群。ファンにとっては理想的な観戦環境と言えるだろう。

 チケットはバイエルン公式サイトから購入可能で、価格は7ユーロから。残席があれば当日券も販売されており、男子トップチームに比べて非常に観戦しやすい。

 試合は前半に3ゴール、後半にも3ゴールを重ねたバイエルン女子がハンブルガーに6-0で快勝した。試合後にはファンが花道のように並び、選手たちを出迎える光景も。谷川選手からサインをもらえるチャンスがあるかもしれない。

 私はこの後、約4.5km離れたアリアンツ・アレーナで行われるバイエルン対1.FSVマインツ05の試合を控えていたため、後半4点目が決まったところで後ろ髪を引かれながらキャンパスをあとにした。

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 谷川選手は前半のみの出場だったが、インパクトは十分。アリアンツ・アレーナとはまた異なる、この素晴らしい空間にぜひまた来たいと思った。