北中米W杯ボイコット、ドイツサッカー連盟の副会長が言及「具体的に議論すべき時が来た」
FIFAワールドカップ (Photo by Michael Regan - FIFA/FIFA via Getty Images)
スポーツと政治の分離に一石、トランプ大統領の姿勢に批判
ドイツサッカー連盟(DFB)の幹部による発言が波紋を広げている。イギリスメディア『BBC』は1月24日、DFB副会長でブンデスリーガのザンクト・パウリ会長も務めるオケ・ゲットリヒ氏(Oke Göttlich)が、2026年6月に開幕する北中米ワールドカップ(W杯)のボイコットについて「具体的に議論すべき時が来た」と語ったと報じた。
発端は、アメリカのドナルド・トランプ大統領の一連の外交に対する姿勢だった。トランプ大統領はこのほど、デンマーク領グリーンランドの獲得を示唆し、これに反対したドイツなど欧州8か国に対し関税措置を示唆。のちに強硬姿勢は取らないとしたが、欧州各国との緊張関係は続いている。
こうした状況を受け、ゲットリヒ氏は地元紙『ハンブルガー・モルゲンポスト』に対し、「いつ具体的にボイコットについて考え、話し合うべきなのか。本当に疑問に思う。その時は、もう来ている」と発言した。
これまでボイコットに関し、ドイツの一議員がSNSで投稿していた。しかし今回、個人のSNS投稿レベルではなく、DFBの役員という立場からの問題提起となったことで、議論は一気に広がった。
2026年W杯はアメリカ、カナダ、メキシコの3か国で共催され、全104試合のうち78試合がアメリカ国内で開催される。フランス政府は現時点で反応せず、デンマークサッカー協会も「状況を注視している」と慎重なコメントにとどめている。
ゲットリヒ氏は、1980年のモスクワ五輪で起きた米国主導のボイコットを引き合いに出し、「当時と比べても、今の方が潜在的な脅威は大きい」と指摘。さらに、2022年カタールW杯での「One Love」アームバンド問題にも触れ、「あの時は『政治的すぎる』と言われ、今は完全に非政治的でいられるのか。それが強い違和感だ」と語っている。
スポーツと政治の分離は長年語られてきたテーマだ。しかし、W杯という世界最大級のスポーツイベントを前に、DFB幹部の発言は改めてその境界線を問い直している。
ゲットリッヒ氏が会長を務め、日本代表の藤田譲瑠チマと安藤智哉の所属するザンクト・パウリは、SNSのツイッターがエックスに移行したあと、不満の声を集約する「ヘイト装置になってしまった」としてアカウントを閉鎖。サッカー界がグローバルな資本主義の競争に加わるなかで、地元を代表するクラブの誇りを保とうと、さまざまな独自の対応をとってきたことでも知られる。
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日本代表、ドイツ代表も出場権を獲得し、間もなく直前キャンプ地も決定しそうだ。W杯開幕まで半年を切るなか、この議論はまだ序章に過ぎないか――。




