中山美穂さん相続問題、浮き彫りになった「10か月で現金一括」は現実的なのか。脱・税理士スガワラくんが斬る――
中山美穂さん 写真:アフロ
ユーチューブで問題点や矛盾を指摘
歌手で女優の中山美穂さんが急逝し、約20億円とも報じられる遺産をひとり息子が「相続放棄」したとされるニュースが波紋を広げている。この問題について、YouTubeチャンネル「脱・税理士スガワラくん」が4月21日、「中山美穂さんの遺産は放棄するしかなかった? 酷すぎる日本の相続税制度の課題についてお話しします」と題した動画を公開し、現行制度の“歪み”に鋭く切り込んだ。
動画で菅原氏は、20億円の遺産に対してかかる相続税は「最高税率55%」に達し、約11億円にものぼる可能性を指摘。さらに、日本の制度で最も高いハードルとなるのが「10か月以内、かつ現金一括納税」という鉄の掟だ。
「11億円を現金で用意できる20代ほどの人がどれほどいるか。亡くなってからわずか10か月でこれだけの資金を捻出するのは、現実的に不可能に近い」と、制度の厳しさを強調した。
特に中山さんのようなスターの場合、資産の多くが「著作権」や「不動産」である可能性が高いと見られる。著作権は「将来の収益」を現在価値に引き直して評価されるため、まだ手元に入っていないお金に対しても課税される。「これから入ってくる見込みの収益のために、今すぐ多額の現金を払わなければならない。もし手元に現金がなければ、借金をして納税するか、相続そのものを諦める(放棄する)しかないのが実情だ」と分析した。
また、相続放棄の決断を「3か月以内」に下さなければならない点にも疑問を呈した。「葬儀や法要でバタバタしている間に3か月はあっという間に過ぎる。財産の全容すら把握できないうちに人生を左右する決断を迫られるのは、あまりに酷ではないか」と語り、納税期限も含めた期間の延長の必要性を訴えた。
そもそも、相続税の本来の目的は「格差是正」や「富の再分配」だ。
そもそも相続税の本来の目的は「格差是正」や「富の再分配」にある。菅原氏は、所得税を払った後の資産に再び高率な課税がなされる現状について「半分以上持っていかれるのは、働く意欲を削ぐ。そもそも戦費調達のために作られた制度がそのまま残っている側面もある」とし、せめて税率を3分の1程度に下げるなど、国民が納得感を持てる範囲への見直しを求めた。
「税金を払うために先祖代々の土地を手放したり、思い出の詰まった権利を放棄せざるを得ない今の仕組みが、本当に正しいのか」――。菅原氏は自身の相続対策についても触れ、「子供には魚を与えるのではなく、釣り方(稼ぐ力)を教えるべき」としながらも、残された遺族が不幸にならないための事前の準備がいかに重要であるかを改めて説いた。
10人に1人が相続税の対象となる現代を迎えている。「格差をなくす」という大義名分の影で、あまりに短い期限と現金主義が、遺族の選択肢を奪っている現状を突き付ける内容となっている。
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