本田圭佑が槙野監督の処分に「サッカー界の成長を阻害する判断」「レベルが低いとハッキリ言う。それの繰り返し」。しかしチームメイトや選手、監督に同じように言えるか?
本田圭佑。写真:徳原隆元/(C)Takamoto TOKUHARA
審判員に反論の場がないという問題も
元サッカー日本代表の本田圭佑(Keisuke HONDA)が10月29日、自身のエックス(@kskgroup2017)を更新し、審判員への悪質な抗議によりJ2リーグの藤枝MYFCを率いる槙野智章監督に2試合の出場停止処分が科されたことについて、異論を唱えた。「槙野は別に何も言い過ぎてない」と主張し、今回の処分について「サッカー界の成長を阻害する判断やと思う」と持論を展開した。
槙野監督は10月24日の徳島ヴォルティス戦(●0-1)で、ハンドの判定を巡って抗議し、警告を受けた。さらに試合後のインタビューでも「レフェリーがもしかしたら新ルールを採用したのかもしれないですけれどね」「誰も言わないから僕が言いますけれど、マジでレベル低い」などと発言した。
Jリーグ規律委員会は、これを日本サッカー協会(JFA)の懲罰基準「審判員の判定に対する悪質な抗議」に相当すると判断。試合中の警告に加え、公開インタビューで審判員へのリスペクトを著しく欠く言動があったとして、ベンチ入り停止2試合と罰金10万円の処分を科した。
これに対し、本田は、槙野監督の発言は行き過ぎたものではなく、むしろ率直な意見を伝えることが相手へのリスペクトにつながると主張。「大事なのは誤審をしたレフェリーにもチャンスを与え続けること」と訴えている。
本田は次のように主張した。
「槙野の件、これ言うとまた色々言われるかもしれんけど、槙野を擁護するとかの気持ちは全くなく、一連の流れを見て思うことは、槙野は別に何も言い過ぎてない。ごく普通のことしか言ってない。あれを言い過ぎとかリスペクトが足りないとか言ってる人は、問題の本質を見ていない。公開の場で面子を潰されたことへの反応してるだけ。
むしろリスペクトという点では、本音でズバっていう方がリスペクトしてる。受け取る方は辛くても、その方が成長する機会になる。大事なのは誤審をしたレフリーにもチャンスを与え続けること。選手目線で言うと、レフリーという仕事が難しいだろうなというのは、ほとんどの選手が思ってる。ミスをするのは当たり前。仕方ない。それも全選手が理解してる。誹謗中傷してるわけでもなく、人生を賭けてるから本音で言うだけ。レベルが低いとハッキリ言う。言い続ける。それの繰り返し。それがサッカー界。それが嫌で、成長しないやつは自然と淘汰されていく。
今回の罰はサッカー界の成長を阻害する判断やと思う」
(※原文ママ。「レフリー」は投稿の表記。一般的には「レフェリー」)
本田が指摘するように、審判員の技術向上は課題だが、その主張には気になる点もある。
選手や監督は試合後のインタビューやSNSなどで、審判員の技量や判定を公然と批判できる。しかし、審判員は同じように選手や監督のプレー、能力について自由に見解を発信し、反論できる立場にはない。
その非対称な関係を考慮しないまま、「本音でズバッと言うことがリスペクト」「レベルが低いとハッキリ言い続けることが成長につながる」とするのは、一方的な見方にも映る。
例えば、選手やチームメイト、あるいは監督について、SNSで「下手クソだ」「レベルが低い」と繰り返し公言することも、相手の成長につながるリスペクトある行為と言えるのだろうか。
率直な意見を伝えることと、公の場で相手の能力を否定することは、必ずしも同じではない。否定的な意見が拡散されやすいSNSで、その影響力を活用して伝播する方法も極めて危険だ。
本田の問題提起には耳を傾けるべき点がある一方、やはり批判される側の立場への視点を欠いていると言わざるを得ない。
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