清水対神戸のAT20分、原因は「主審の勘違い」
(C)SAKANOWA
「選手の治療した時間をさらに加算してしまった」。上川徹氏が動画のJリーグ公式チャンネルで説明。
[J1 33節] 清水 – 神戸/2018年11月24日/IAIスタジアム日本平
Jリーグが2018シーズンの気になったジャッジを、Jリーグの原博実副理事長、日本サッカー協会の上川徹トップレフェリーグループシニアマネジャーが詳しく解説するJリーグのユーチューブ公式チャンネル「Jリーグジャッジ・リプレイ」が11月28日に更新された。今回は「今ある情報のなかで」という条件で、11月24日のJ1・33節・清水エスパルス対ヴィッセル神戸の約20分間のアディショナルタイムが取り上げられた。
上川氏は今回のアディショナルタイムについて、「4分」と表示されたことは、「4分から4分59秒までを意味する。その間の負傷やもみ合いの時間などは時計を止めて含まれない」と説明。「ただ、全体的にみると、インプレ―だけの時間を計ると4分59秒は越えている。レフェリーの時間の管理に間違いはあった。何かがあったときは、時計を止めれば良かった」と指摘した。
そのうえで、上川氏は最終的に20分近く時間が加算されたことについて、レフェリーの「勘違い」が原因であったと説明した。
「原因としては、アディショナルタイム3分40秒のタイミングで河合選手が負傷のために治療を受けて退場するまで、4分少しかかっています。本来あと1分ほど時間を追加すれば試合終了だが、レフェリーは試合再開するとき、その(河合のケガで中断した)約4分間をもう一度追加しないといけないと考えて、その分、長くなってしまった。それは90分の中であれば、追加時間にできるものだが、アディショナルタイムには適用されない。選手の負傷があって、試合の温度も高くなり、停止した分の時間を『そのあとにやらないといけない』と勘違いを起こし、それが二度、三度と重なった」
MCの平畠啓史氏は「とはいえ、副審や第4の審判員から主審に対し『間違っていないか? もう4分終わっているぞ』という指摘はなかったのか」と疑問を提示。上川氏は「副審からはそういう声は出ていた。ドロップボールで再開したあと、二度ほど『終わったらいいよ』という声を掛けたが、レフェリー側の対応に間違いがあった」と説明した。
原氏も上川氏も、まずそのレフェリーの勘違いがその後の騒動の発端になったと語り、さらに、一つひとつファウルが取られず試合が荒れていったシーンについても検証した。
上川氏はこうした事態を招かないためにも、「レフェリーチーム」としての対応が重要であると強調した。
「時間のマネジメントについて、一番の問題はレフェリーにあるが、それはレフェリーチームとして(の問題でもある)。第4の審判員は間違って運営されていると気付いてレフェリーに伝えていたが、それでも気付いていなかったという。であれば、副審が旗を振るなり、あるいはピッチの中に入って行って『もう終わりだ』と伝えるなど、いくつかのタイミングはあったので、そういった協力はほしかったと思います」
加えて原氏はスポーツの楽しさと怖さの表裏一体を伝えるとともに、だからこそルールやマナーの重要性も強調した。
「ベンチにいる選手スタッフを含め、スポーツは一つ越えるとこうなってしまう怖さがある。そこを越えると大変なことになる。どこかで抑えないと。サッカーをできなくなるほどのケガを起こしてしまう可能性もある。そういった面では、最後はイニエスタがポドルスキを止めるなどしていたが、選手もどこかで抑えないといけない」
平畠氏は「どの試合でも、このようになる可能性も秘めている」と、万が一、そういったヒートアップした試合では観戦者も留意してほしいとも呼び掛けていた。
文:サカノワ編集グループ