【栗澤僚一インタビュー・マイベスト②】最強の対戦相手はネイマールとガンソ。日本人では?
サントス、バルセロナ、パリSGと移籍したネイマール。栗澤にとって、2011年に対戦した時のインパクトは忘れられない。写真:徳原隆元/(C)Takamoto TOKUHARA
最近では守田や米本。ボールを奪い切れる選手は特別。
2018シーズン限りで現役引退を決断し、来季、トップチームのコーチに就任する柏レイソルの栗澤僚一。今回、現役生活14年間を振り返るとともに、2019年の抱負も語ってもらった短期連載のインタビュー2回目、「マイベストシリーズ」のベストシーン、ベストな対戦相手……など話を聞いた。
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――現役14年間の「マイベスト」を振り返る第1回目は、ベストゴール、ベストフレンドについてお聞きしました。続いて、ベストシーンを挙げるならば?
「リーグ優勝を決めた(2011年12月3日)アウェーでの浦和戦、試合終了のホイッスルが鳴った瞬間です。優勝決定の瞬間って、何度味わってもいいものですよね。素晴らしいものです。特にリーグ優勝を経験できる選手は限られていますから、あの瞬間は、いろんな思いが込み上げてきました。
スタッフ、フロント、サポーターが一つになる瞬間って、本当に格別です。
一緒にみんなが喜んでいる。
一つタイトルを獲ると、選手たちも『さらに』という気持ちになります。何よりリーグ優勝した時、なんだか柏の街全体の雰囲気がパっと、一段と明るくなった気がしました。
よし俺たちも頑張るぞ、と思ってくれていることが伝わってきました。そんなイキイキしている気持ちが感じられる。最高ですよね。
それこそがサッカー選手冥利だと本当に実感しました」
――ネルシーニョ監督のもと、2011年J1、12年天皇杯、13年ルヴァンカップと、3年連続で主要タイトルを獲得し、柏が一時代を築きました。2019シーズン、ネルシーニョ監督の復帰に伴い、サポーターも当時の再現であり、新たなる時代の到来を期待していると思います。
「だからこそ、レイソルをもっと強くしないといけません。当時を知っているだけに、今回、(J2降格は)申し訳ない気持ちでいっぱいですし、責任を感じています。柏を強くしたいし、クラブとして生まれ変わらないといけない。這い上がり、来年1年でJ1へ復帰します」
――これまで対戦した中でのベストプレーヤーは?
「(2011年12月14日)クラブ・ワールドカップ(準決勝)で対戦したサントスのネイマール、それにガンソ。あの二人はとても印象に残っています(ネイマール、ボルジェス、ダニーロの得点により、3-1でサントスが勝利)。
言葉に言い表せない、というレベル。そうしたレベルを肌で感じられたのは、タイトルを獲れたからこそでした。タイトルを獲れば、何かがある。
ACLから未知なる相手と対戦できて、もちろんまず勝つことが前提であり、そのうえで自分の経験にもつながってきました。
もう日本人にはない間合い、というか。ボールを取れると思っても、かわされる。すべてが今までやってきた対戦相手と違うなって……特別でした」
――日本人選手で衝撃を受けた選手は?
「今野はやはりすごいかな。ボールを獲りきれる選手って、日本人ではあまりいません。体を寄せて、しっかりマイボールにできて、なおかつチームに推進力を与えられる。その一連の奪い切る能力は日本人で一番だと思います。一緒にプレーすれば頼りがいがあり、相手だととてもやっかい。
僕にできるのは突っついてボールをカットするぐらい。奪い切るためには、寄せ方、体の入れ方、そういったコツを含めてすごかった。
他チームだと、川崎フロンターレの守田はそれに近い、面白い逸材だと感じています。自分でなんとかしてボールを奪えて、危険なところに顔も出せて、つなぎも上手いです。流経の後輩ですし(笑)。1年目にしてこれだけできるのですから期待して見ています。とても楽しみな選手ですね。あとはヨネ(米本拓司/FC東京)。彼もとても良いボールの奪い方をしますね」
――さて引退を発表したあと、どういった時に心を打たれたりしました?
「そうですねえ……意外と愛されていたのかな、って感じることができました(笑)。奥さんのほうにもたくさん連絡が届いて、振り返ると素晴らしい人たちと良い現役時代を過ごさせてもらったなって。改めていろんな方に支えられ、つながりを持って12年間やってこられたと思いました。
FC東京の方たちも含め、人間関係に恵まれ、そこでいろんなことを学んで、吸収して、すべてプラスに捉えています。みんながいてくれたからこそ、これだけ長い期間できたと思っています」
取材・文:塚越始
text by Hajime TSUKAKOSHI