史上初の女性監督ミラと鈴鹿の現在地。スペイン流の「引き出し」を増やす
鈴鹿アンリミテッドFCを率いるミラ監督。写真:新垣博之/(C)Hiroyuki SHINGAKI
JFLとJリーグで初となる女性指揮官のもと、「ベースは固まった」。
1ステージ制に戻った今季のJFLは9節を終え、ソニー仙台が勝点20で首位に立ち、9位のヴェルスパ大分まで勝点6差にひしめく大混戦となっている。スタートダッシュに失敗した3連覇中のHonda FCだが、ここに来て4連勝で2位に浮上している。
熾烈なリーグに今季から初参戦し、注目を集めてきたのが鈴鹿アンリミテッドFCだ。JFLとJリーグで史上初となる女性監督のミラグロス・マルティネス・ドミンゲス(以下、ミラ監督)が就任してから半年が経とうとしている。
4月に34歳の誕生日を迎えたスペイン人指揮官のもと、鈴鹿は「スペイン流+日本人の特長を活かした攻撃サッカー」に取り組んできた。
鈴鹿は6月2日の9節、ホームでの4位ホンダロックSCとの一戦をスコアレスドローに終え、勝点1を獲得した。
試合は立ち上がりから鈴鹿が後方からしっかりビルドアップしながら攻め込んだ。和田篤紀の強烈なミドルはGK正面を突き、現在リーグ2位の6得点を決めているFWエフライン・リンタロウのヘディングシュートがクロスバーを直撃。他にも何度かペナルティエリア内まで攻略したものの得点に結びつかない。
2節のテゲバジャーロ宮崎戦で4-1の大勝で初勝利を収め、その攻撃力が通用することを証明。ただ最近は「60分ぐらいまで押し込むもののの得点できず、終盤に(特にセットプレー)で失点して敗戦」という傾向が強かった。
ただミラ監督はスタイルを貫き、「ベースが固まり、引き出しを増やしている段階」と捉えてきた。
「ミラスタイル」の象徴と言えた、指揮官がたたえたGKの勇気あるプレー。