【ACL 浦和】大槻監督が戦略より大切だと訴えた「倒れた回数で勝敗は決す」
ACL蔚山現代戦。土砂降りのなか、ずぶ濡れになりながら指示を出す浦和の大槻毅監督。写真:徳原隆元/(C)Takamoto TOKUHARA
「サポーターのあの素晴らしい後押しで生まれたゲーム。感謝しています」
[ACL 決勝T①-2nd] 蔚山現代 0-3 浦和/2019年6月26日20:00/蔚山文殊サッカースタジアム ※2戦合計 4-2で浦和がベスト8進出
アジアチャンピオンズリーグ(ACL)の決勝トーナメント1回戦・第2戦(セカンドレグ)、浦和レッズがアウェーで蔚山現代に3-0の勝利を収め、2試合トータルスコア4-2(第1戦/●1-2)と第1戦から逆転に成功し、アジア制覇を果たした2017年以来2年ぶりのベスト8進出を決めた。
大槻毅監督は試合後の記者会見で、まず「次のラウンドに進めて良かったです。ホッとしています。選手がよく頑張ってくれたこと、それに何より先週のゲーム後の埼玉スタジアムでのサポーターの後押し、今日のサポーターの後押し、あの素晴らしい後押しがあったからこそ、このゲームが生まれたと思っています。心から感謝しています」と、ゴール裏を赤く埋めた12番目の戦士へ賛辞を贈った。
指揮官はあくまでも「2試合トータル」でのマネジメントに取り組んできたと説明。そのなかで十分勝算はあると感じ、試合に臨んだという。
「第1戦があっての2戦目。1戦目は1-2に終わりましたが、それほどプランが外れていたわけでなく、失点がもったいなかった感じでした。ゲーム内容を分析することで悪かったところはすぐ見えますが、我々が積み上げてきたところも見逃さないように、選手たちに話してトレーニングを積んできました。今日はできすぎの部分もありましたが、ある程度のパフォーマンスは出せると伝えていました」
明かされる蔚山対策――。あらゆる分析をしたうえで選手たちに落とし込んだ大槻監督だが、とはいえ、最後に勝敗を決するのは「倒れた回数」になると強調し、選手たちを送り出したそうだ。
「この2戦目は我々のほうがピッチにしっかりと立っていて、彼らのほうが倒れる回数が多かったと思います。いろいろな戦略、作戦、戦術がありますが、試合前、そこの回数でゲームが決まるのではないかと、選手たちに伝えました。そういったところで上回れなければ勝利は持ってこれない、と。そこの戦いで上回ることができた。選手たちのパフォーマンスには、非常に誇りを感じています」
傾向と対策を分析し、周到な準備をする。ただし、何より大切なのは相手との”勝負”に勝つ。チームメイトを信じ、そのこだわりを最後まで持ち続けること。指揮官の想いに応えるように、選手たちは「出来すぎ」のパフォーマンスで、豪雨の中での”大逆転”を演じてみせた。
このアウェーでの一戦。エヴェルトンの3点目が決まると、コーチングエリアの最前線に立った大槻監督は真っ先にゴール裏にいた浦和サポーターに向けて両拳を突き上げ、ガッツポーズを作ってみせた。指揮官もまた、選手、サポーターとともにずぶ濡れになりながら戦っていた。
文:サカノワ編集グループ