【浦和】凄み増す青木拓矢。豪雨の韓国決戦で見せたインテンシティ「やるしかなかった」
アウェーの蔚山現代戦でフル出場した青木拓矢。写真:徳原隆元/(C)Takamoto TOKUHARA
ボランチで蔚山現代戦の逆転劇を支え、先制点の起点になる。
[ACL 決勝T①-2nd] 蔚山現代 0-3 浦和/2019年6月26日20:00/蔚山文殊サッカースタジアム ※2戦合計 4-2で浦和がベスト8進出
アジアチャンピオンズリーグ(ACL)の決勝トーナメント1回戦・第2戦(セカンドレグ)、浦和レッズがアウェーの地で蔚山現代に3-0の勝利を収めてベスト8行きを果たした。激しい豪雨が降り続く中、ボランチの青木拓矢は90分間、動じることなく全体のバランスを保ち、大逆転劇を支えた。
3-4-2-1でエヴェルトンとボランチコンビ組んだ青木は、「まず失点だけはしたくなかった。カウンターのところでいくつかシュートは打たれたけれど、最後の最後まで粘り強く守れたのかなとは思います」と振り返った。
「僕らのホームで2-1で勝っていたこともあり、相手が引いてきたので、慌てず1点取れれば状況もメンタルでも僕らのほうが優位になれると。1点目を粘り強く取ることを意識してやりました」
そのようなメンタル的な駆け引きが鍵を握るなか、青木自身は「いろいろなところを見てカバーし、リスクマネジメントするところ、危ないボールの失い方をしないこと」を、何より心掛けたという。
とはいえ豪雨が降り続く悪コンディションだ。神経も相当にすり減らしたのではないか。
「ただ、やるしかない、という状況でした。それが今回は良いほうに働いたと思います」
耐え続けたなか、青木のパスが起点となり、岩波拓也から宇賀神友弥につながり、右サイドのクロスから、41分に興梠慎三のゴールで先制に成功。「前半を1-0で終えられたところで、『行ける』と感じました」。そして87分にエヴェルトンの3点目が決まったところで「心にも余裕ができました。これで次へ進めるなって」と、ベスト8進出を確信した。
振り返ると、青木が球際の競り合いで負ける場面はほぼなかった。彼が倒れ込むようなこともなかった。韓国勢のチームに対し、この大一番で見せたパフォーマンスとインテンシティの高さは特筆に値するだろう。
大槻毅監督の「最終的には多く倒れたほうが負ける。倒れ込むな」という言葉を、最も激しいバトルを強いられるポジションで貫いてみせた。
「良かったです、本当に」
29歳のボランチは一仕事を(完璧に)仕上げた職人のように、小さく爽やかな笑顔を浮かべた。
取材・文:塚越始
text by Hajime TSUKAKOSHI