【浦和】関根貴大と大槻監督が感謝した「埼スタの特別な力」
浦和の関根貴大。写真:徳原隆元/(C)Takamoto TOKUHARA
後半アディショナルタイム、関根貴大が執念のヘディング弾!「目には見えないけれど、僕にとっては大きな力」
[J1 21節] 浦和 2-2 名古屋/2019年8月4日/埼玉スタジアム2〇〇2
浦和レッズのMF関根貴大が名古屋グランパス戦、1-2と1点リードされて迎えた90+3分、山中亮輔のクロスにヘディングで合わせて執念の同点ゴールをねじ込んだ。試合は2-2で終わり、ホームチームが辛うじて勝点1を掴んだ。
3-4-2-1システムのウイングバックは、とにかく体力の消耗度が激しい。「最後は(体力的に)ヤバかったです」と言う関根だが、それでも走り続けた90+3分、スローインのリスタートから山中のクロスにヘディングでねじ込んでみせた。
「ヘディングのゴールは(西川)周作くんのフィードに合わせて決めて以来(2016年8月6日、J1第2S7節・湘南ベルマーレ戦/〇1-0)。クロスに合わせて決めたのは、おそらく初めてです。絶対に最後はチャンスが来ると思っていたので、決め切れて良かったです。
(入り込みすぎないようにした?)いや、ワイドからタイミングを見て入っていくイメージでした。ニアサイドは消されていたので、僕からはあのラインでボールが見えていたので、そこへ飛び込んでいきました」
浦和復帰後初のゴールが、この勝負どころで決まった。背番号「41」をつけた関根は拳を突き上げて飛び上がり、ゴール裏にいるサポーターの燃えるような声援に応えた。
「嬉しかったですし、ホッとする気持ちもありながら、ただ、チームとしては勝てなかった悔しさもあります。チャンスメイクではなかなかいいシーンを作り出せていなかったので、そこをもっと追求していきたいです」
その直後の90+5分には、自陣から相手3人を抜き去る圧巻のドリブルも見せた。
「ゴールを決める前も、最後、走り切れるかどうかという体力しかありませんでした。でも、ゴールの瞬間も、そのあとの最後のカウンターも、声援の後押しを受けて、『行ける』という感覚が芽生えました。あの広島戦(2017年7月1日の17節、90+2分に約40メートルを持ち込み決勝点)のように、グイグイと持ち運んで、あの時間(アディショナルタイム)でも推進力を持って行けたのは、サポーターの声援があったからです。目には見えないですけれど、僕にとってはすごく大きな力です」
そのように関根が語った「埼スタ」の力。ホームで闘うことの感覚が蘇ったという。
「(カウンターは)3人目まで抜いて、パスか自分でいくかの選択に持ち込もうとしたけれど、そこまで運びきれませんでした。けっこう(相手が)アフター気味できたけれど、ノーファウルだったので、それを弾き返せるぐらい強くなりたいです」
そのように、まだまだ強くなりたいと、関根は強調していた。
そして、浦和の大槻毅監督もまた試合後の記者会見の最後、「ちょっといいでしょうか」と、次のように言った。
「このスタジアムの雰囲気というのは、我々のことを助けてくれていると心から思っています。このスタジアムでともにまた戦いたいと思わせてくれましたし、このスタジアムが本当に特別なものだと感じる試合でした。ありがとうございました」
鹿島戦に続く終盤での劇的弾。その力がなければ追い付くことはできなかった――指揮官はそのように特別な力を感じていた。
関根と大槻監督、それぞれが埼玉スタジアムに宿る「力」に感謝していた。
浦和は次節8月10日、アウェーで北海道コンサドーレ札幌と対戦する。
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[取材・文:塚越始]