宇佐美、パト、井手口…新戦力をどう生かす?矢島慎也が感じるG大阪の課題
G大阪の矢島慎也。写真:徳原隆元/(C)Takamoto TOKUHARA
あの相手のタイミングを一つずつ外す感覚。融合を図りながら取り戻せるか。
[ルヴァン準々決勝-1st] G大阪 – FC東京/2019年9月4日/パナソニック スタジアム吹田
8月31日のJ1リーグ25節のガンバ大阪対横浜F・マリノス戦、1-3で敗れたG大阪のMF矢島慎也は、インサイドハーフとして先発したものの、相手の鋭いプレスに苦しみ攻撃的な特長を発揮できず、58分にパトリックと交代した。
宮本恒靖監督のもと、今季リーグ20試合に出場。アンカーとインサイドハーフでプレーし、中短距離の精度の高いキックとパスを武器に、前線に変化をつける役割を担ってきた。
そうしたなか、宇佐美貴史、パトリック、井出口陽介と今夏、新たな戦力が加わり、融合を進めようと段階を踏んでいる。
もちろん矢島にとってはポジションを争うライバルでもある。ただ、再び停滞感の漂い出したチーム状況を考えると、まずは、いかにそれぞれがプラスに作用し合い相乗効果を生み出すか。それがまずチーム全体として取り組むべきテーマであることは確かだ。
そうしたなか、矢島も「(新戦力の加入効果について)まだ合わせにいって、上手くいっていないなと感じるところもあります」と胸の内を明かすとともに、「みんな強い個性があるので、特に宇佐美くんに関してはゴール前のセンスが凄い。そういったところを自分たちが生かしていかなければいけない」と語る。
G大阪が12節のセレッソ大阪戦(〇1-0)から息を吹き返した時、矢島から放たれるミドルキックとショートパスが効果を発揮し、スペースやギャップを突いて、チームに流れをもたらしていた。ただ、今回の2列目に入った横浜FM戦では、プレスをもろに受け、さらに守備にも追われ、前を向いてボールを動かす回数自体が限られた。
「アンカーに入っていた時は、そのように縦に当てたり、サイドに振ることを意識していました。ただ今日(横浜FM戦)のようにビルドアップの安定感を欠くと、後ろにも意識が引っ張られてしまい、難しかった。アンカーでプレーしている時よりも、時間をかけてボールを持てる機会は減るので、ボールを奪った直後、どのようにして相手のタイミングを上手く外していくかを考えていたけれど、切り替えて奪い返され、また守備からになり、結局、相手にハメられて、一番後ろまで下げてGKからのロングボールになってしまいました」
どんどんチームとして”後ろ向き”になってしまう悪循環に陥っていたのだ。
確かにG大阪の中盤が機能している時、相手の思惑の先を読み、タイミングを一つずつ、少しずつ外して、どんどん裏をかいて突いていく。そのようにテンポも上げて、時に緩急をつけながら主導権を握っていく。そのような流れを掴みたい、と矢島も考えていた。
「それこそ、アンカーで出ている時はそういったことを意識しています。次、それをインサイドハーフでも発揮することが大事になってきます」
浦和レッズから加入して2シーズン目(昨季半年間はベガルタ仙台でもプレー)、これまでは周囲を生かすことが念頭にあったが、新戦力をはじめいかに生かされるかも課題になる。「強い個性」が共鳴し合う相乗効果とともに、G大阪上昇のうねりを生み出していきたい。
G大阪は9月4日、ルヴァンカップ準々決勝の第1戦、FC東京とホームで対戦する。
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[文:サカノワ編集グループ]