小野伸二が実感する琉球の確かな変化「1試合ずつ大事に戦う意識を持ち始めている」
琉球の小野伸二。(C)SAKANOWA
ボランチで5試合連続先発。「試合をできることが、改めて喜びに変わっている」
[J2 34節] 町田 0-0 琉球/2019年9月29日/町田市立陸上競技場
FC琉球の元日本代表MF小野伸二がFC町田ゼルビア戦、4-2-3-1のボランチでリーグ5試合連続でスタメン出場を果たし、起点となってパスを散らし、コーナーキックからもチャンスを作り出した。75分に風間宏希と交代し、チームはスコアレスで引き分けた。琉球は4試合負けなしで、13試合ぶりの無失点。
小野は試合後、次のように試合を振り返った。
「町田がロングボールを活用してくることは聞いていましたが、その予想以上に、裏へボールを蹴ってくるチームで、正直、難しい部分はありました。自分たちは下でつなぎたい気持ちを持っていましたが、なかなかね。ボールを取られれば蹴られてしまい、思うようにサッカーができなかった感じがします」
そうしたなかで、実に7月6日の栃木SC戦(〇3-0)以来、13試合ぶりに無失点に抑えられたのはポジティブな部分に挙げられる。
が、しかしやはり……勝点3を奪いたかったという。
「そのなかでも勝点3を取ることに徹して、みんなで戦い抜かないといけなかった。相手にセカンドボールを拾われ、ピンチも何度かありました。ただ、こうしたチームと対戦する時、もっと後ろからつなげるようなサッカーをしていきたいです」
小野自身はこれで加入から7試合連続出場、先発は5試合連続だ。新たなチームの「柱」となり、チームもポゼッションカラーをより強めてきた。
「コンディションはすごくいいです。もっとゴール前へ顔を出して、パスも出して、シュートにも行って、ゴールに直結するような仕事をしていきたいです」
そのようにこの日スコアレスに終わったこともあり、琉球の新背番号7は、ゴールに絡むことへの意欲を示した。
加入から1か月半、ここ4試合は1勝3分。まだまだ予断は許さないが、以前ほど大崩れしなくなってきた印象を受ける。
小野はどのようにチームの「変化」を感じているのか?
「とにかく1試合1試合を大事に戦っていこうという意識を、みんなでより持ち始めています。さらに上を目指していけるように。その意識付けをして、僕が先頭を切って、練習から声を掛けて、やっていきたいです」
日本代表としてワールドカップ3大会に臨んだ40歳の天才が、なぜ沖縄を新天地に選んだのか――。その言葉に、強い覚悟が感じられた。
試合中、小野が厳しい表情を浮かべることもあれば、笑ってチームメイトに「OK」と伝える場面もあった。小野からの「OK」はかなりの力(魅力)があるようで、その後、琉球の若手選手がより積極的なプレーを見せていく。おそらく練習中からそうなのだろう。そんなふとしたシーンからも、「小野効果」は感じられた。
何より小野自身も改めて充実した時間を過ごせているという。
「試合をできていることが、改めて喜びに変わっています。まだまだ楽しんでサッカーをしながら、みんなにいいところを見せられるように頑張ります」
小野は小さく笑った。決してこの試合結果と内容には満足していない。ただ勝点「1」、確かに前進した。少しずつ、一歩ずつ、琉球は積み重ねていく。
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[取材・文:塚越 始]