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【G大阪】持ち金ない宇佐美が小野と定食屋で交した約束「おごって!」「ゴール決めたらいいよ」

G大阪の宇佐美貴史。写真:徳原隆元/(C)Takamoto TOKUHARA

これぞ宇佐美、神戸戦で約25㍍の弾丸スーパーミドル!! なぜ、真っ先に小野のもとへ駆け寄ったのか?

[J1 7節] 神戸 0-2 G大阪 /2020年7月26日/ノエビアスタジアム

 J1リーグ7節、ガンバ大阪が小野裕二と宇佐美貴史のゴールでヴィッセル神戸に2-0の勝利を収め、4連勝の勝点14で暫定2位に浮上した。

 1-0で迎えた86分、これが宇佐美だ、と言わんばかりの衝撃の一撃が飛び出す。ゴール正面やや左寄り25メートルの地点で横パスを受けると、ゴールまで一直線にスペースができたのを見逃さず、思い切って右足を振り抜く。ボールはほぼ無回転で、横っ飛びしたGK飯倉大樹の左手を弾いてゴールネットに突き刺さった。宇佐美にとって、これが神戸戦通算13点目だ。

 宇佐美は自分でも驚いたように歓喜してベンチに向かい、G大阪での初ゴールを決めてすでに途中交代していた小野のもとに駆け寄って抱擁をかわす。

 同い年であり、クラブユース出身者として世代別代表などでも切磋琢磨し合ってきた二人でもある。なぜ、あそこまで喜び合ったのか――。

 宇佐美は試合後のオンラインによる記者会見に臨み、まさかの“真相”を明かした。

 まず、G大阪の33番は、小野と阿吽の呼吸を感じ合えているという。

「自分たちが『こうしたい』と志向している基本的なところで似通ったっところがあります。プレー面では本当に何も言わず分かり合える関係ができています。何よりメンタリティのところでプラスアルファを落とし込んでくれています。例えば激しいプレー時、ボディランゲージでハッキリと裕二のメンタリティが僕らにも、見ている人にも伝わってきます。今までガンバにいなかったタイプで、試合中は頼りにしています」

 そして、なぜ、あのように驚きながら小野のもとへ一目散に駆け寄ったのかを説明した。

 スタジアムに向かう前の昼食、二人は偶然、店で一緒になった。しかし食事を終えた宇佐美は、財布の中身をはじめ手元に現金が一切ないことに気付いた。そこで小野に「ごめん、ちょっと、ここはおごってくれないか」とお願いしたと言う。すると小野は頷き、「今日、点を取ってくれたらいいよ。ゴール決めたら、それがこのご飯代!」と“約束”したという。

 それが実現したことで、宇佐美は「まず裕二のところへ行きました」ということだ。

 小野、宇佐美のゴールで勝利――。プラチナ世代と呼ばれた92年組の友情と底意地が結集された1勝となった。

 一方で、宇佐美は課題も挙げていた。

「無失点に抑えられたことはポジティブ。こうして踏ん張れるところは今の強みです。ただ自分たちの本意での勝ち方ではなかった。1点目を奪ってもなおボールを保持し、ずっと攻撃をし続けられるようになりたい。より攻撃的に、もっと魅せられるシーンを作っていかないと、このままずっと行くことはできない。それはチームとしてのノビシロでもあると思います」

 まだまだ個々もチームも“ノビシロ”がある。いろいろな面で視野が広がった印象でもある28歳の宇佐美が、ガンバ大阪のあらゆる力を引き上げる。

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[文:サカノワ編集グループ]

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