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ジーコがコロナ禍でのサッカー界の危機と未来を語る「選手の給与減は免れない」

オンラインによる取材に応じた鹿島のジーコ・テクニカルディレクター。

鹿島TDが再来日、選手たちには「まず闘争心を」。

 鹿島アントラーズのジーコ・テクニカルディレレクター(TD)が8月6日、オンラインによるメディア取材に応じて、チームの現状をどう考えているのか、そして新型コロナウイルスのサッカー界に及ぼす影響などについて語った。

 ジーコTDはまずブラジルに戻っていた理由について次のように説明した。

「単に帰国していたわけではありません。定期的に心臓の検査を受けなければならずブラジルに戻っていたところ、新型コロナウイルスの感染が広がり、日本に向かうことができなくなりました。ただ帰っていた、というわけではありませんでした」

 ジーコTDはブラジルで鹿島の情報を収集。日本と連絡を取り合ってきた。

「各フェーズのいろんな情報はもらい、映像でも試合を確認してきました。人間であるのだから結果が出なければ気落ちするものですが、選手たちは新たな監督のスタイルに合わせるようと努力していることが見受けられます。一方で、現実に目を背けないこと。首脳陣と選手が大きく入れ替わり、クラブの習慣に慣れるまでは時間がかかるものです」

 とはいえ“結果”が求められるのが鹿島だ。ジーコTDはそのためには、何より闘う姿勢が重要だと訴えた。

「選手たちには、攻撃的か、守備的か、どのようなサッカーをやるかよりも、まず、それ以前の前提として、闘うところ。闘争心が大切。最後まで諦めない気持ちを出すこと。それができなければ、何も成し遂げることはできません。一番分かりやすい例が昨日の試合(ルヴァンカップ川崎フロンターレ戦/●2-3)です。途中から出場した選手が闘争心を剥き出しにして、一つひとつのバトルを制し、圧力をかけて同点、あるいは逆転までいけるのではないかという状況を作りました。そういった意欲がなければ、何も始めることはできません」

 また、このコロナ禍でのサッカー界について、ジーコTDは不安が続くことで、自信を失いかねません。ワクチンができるまでは、各自が健康であるために、しっかり予防対策をせざるを得ません」と語るとともに、未来について次のように展望した。

「現状では露出も減っていて、スポンサーの減額も免れないでしょう。そのスポンサーをされている企業もまた減収によって苦しんでいます。新型コロナウイルスにより、あらゆる業種が経済的なダメージを被っています。選手はこれまでもらっていた金額を受け取れない時代になるはずです。その影響はもう出ています。そうしなければ、クラブも、選手自身も存続できず、この業界が衰退してしまいます。クラブにかかわるあらゆるプロフェッシャルの立場の人たちも同じです。そういった理解をして、みんなで生き残っていくことが大切になります」

 そして、クラブの経営状況をそれぞれが理解し、そのうえで鹿島のために戦うことが大切であると強調した。

「例えばオンライン取材を受けているこの背景にあるスポンサーからの収益が減れば、獲得できる選手も限られてきます。クラブの新たな経済状況や環境をみんなで理解し合うこと。そしてサッカー界のみならず、あらゆる業種・分野で生き延びるようにしなければいけないと思っています」

 これまでのように、試合に出て、勝てば給与が増える、というわけにはいかないかもしれない。どのようにクラブが成り立っているのか。サッカーを通じて社会全体に目を向けること。ジーコTDはそういったフェーズに突入した現実を受け止め、みんなで生き残るための努力をしていくべきだと呼びかけていた。

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[取材・文:塚越始]

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