ノイアー、ラウルと共に…内田篤人は震災翌日、ドイツでの痺れる勝利後、あのシャツを掲げた
2011年3月12日、シャルケの内田篤人がフランクフルト戦のあと、メッセージを書いたシャツを着てサポーターの前に立った。 (Photo by Christof Koepsel/Bongarts/Getty Images)
歓喜するシャルケの選手たちの端にいた内田をノイアーが見つけて――。
ドイツ・ブンデスリーガのシャルケ04は日本語の公式ツイッター(@s04_jp)で3月11日、10年前の3月12日に行われたホームでのアイントラハト・フランクフルト戦のあと、DF内田篤人が日本語とドイツ語のメッセージを書き込んだシャツを着てサポーターの前に立った写真を改めて投稿した。
東日本大震災の翌日、内田はフェルティンスアレーナのピッチに立ち、6万人の大観衆の前で戦っていた。しかもアウェーでのUEFA欧州チャンピオンズリーグ(CL)のベンフィカCL戦(〇2-1)から中2日というハードなスケジュール。
マヌエル・ノイアー、ラウル・ゴンザレスらスター選手とともに名を連ねた右サイドバックはフル出場を果たす。試合は先制しながらも一旦追いつかれたが、84分にノイアーのフィードからアンゲロス・ハリステアスの劇的ゴールが決まり、2-1の勝利を収めた。
「日本の皆へ
少しでも多くの命が
救われますように
共に生きよう!
Liebe Freunde in Japan,
in der Hoffnung,
dass viele Leben gerettet werden
lasst uns zusammen stehen!」
試合を終えたあとのゴール裏へのあいさつ、内田はそのように書いたシャツを着て、サポーターの前に立った。
普段から控え目なだけに、この日も歓喜の邪魔をしないように端で、この特別な勝利を噛み締めていた。するとそこに、そんな内田の性格を知る、のちにバイエルン・ミュンヘンに渡りドイツ代表の守護神になるノイアーが歩み寄り、内田の肩を抱いて、改めてサポーターの前へ向かってそのメッセージを伝えた。
リーグ戦、CL、そして日本代表と、内田はフル稼働を続けた。そしてCLではベスト4に進出。あれから10年、シャルケにとっても語り継がれる輝きを放つシーズン、内田は右サイドを支え続けた。タフで繊細なパフォーマンス、何よりチームに結果(勝利)をもたらすことで、その小さな体に秘めた途轍もない存在感を示していった。