「ユンカーは売却される」浦和移籍への懸案は?合宿脱走問題、口頭での合意が原因か
デンマークの年代別代表にも選ばれた経験のあるカスパー・ユンカー。 (Photo by Valerio Pennicino/Getty Images)
ボデ/グリムトはすでに3チームからのオファーを拒否。デンマーク人ストライカーはクラブの対応に疑心暗鬼。
ノルウェー1部(エリテセリエン)FKボデ/グリムトに所属するデンマーク人FWカスパー・ユンカーが3月28日にスペインの合宿地から姿を消した。現地メディアによると浦和レッズからのオファーをグリムトが拒否したため、ユンカーはクラブフロントへの抗議の意を込めて、練習に戻るつもりはないと意思表示しているという。
この“事件”について、『ノルウェー放送協会』(NRK)が詳しいレポートを掲載。問題を整理して、落としどころを探っている。
27歳のユンカーは、ノルウェー1部の2020シーズンに25試合・27ゴールを決めて得点王に輝き、チームをリーグ優勝に導いた。
そしてこのオフ、ユンカーのもとには、セリエAのFCクロトーネ、トルコ1部のカイセリ・スポルからオファーがあった。が、いずれもクラブは拒否。そしてこのタイミングで、地元メディアによると27日に浦和からグリムトにオファーがあった。しかしクラブはすぐにこの申し出を断った。
こうした対応に疑心暗鬼になったユンカーは28日夜、荷物をまとめてスペインの合宿地を去ったのだ。
記事では、ユンカーはグリムトの契約下にあり、こうした強硬手段を打って出ても立場的には不利な状況にあると伝える。
一方、昨季20ゴール以上を決めた場合には移籍を認めるといった合意が齟齬にされたようだともいう。それが口頭など形として残っていなかったため、問題がこじれてしまっているようなのだ。
とはいえ、こうした喧嘩になってしまえば、クラブにも瑕疵があったと言わざるを得ない。経緯を踏まえて現地の弁護士は「ユンカーは売却されるでしょう」と、移籍が容認される可能性を示唆している。
その場合、問題は移籍期限だ。Jリーグの第一の移籍期限は4月2日まで。ノルウェーも迫っている。グリムトがこのまま移籍を認めず、重い腰を上げなければ、タイムリミットを迎えてしまう。現地メディアも、そこを現段階では重要なポイントに挙げている。
グリムトは29日にクラブ公式サイトで、ユンカーが合宿地を去ったことを正式にアナウンス。日本からのオファーを断ったことが要因であると、Jリーグからの接触も認めている。
内容は以下の通り。
「クラブは27日午後、日本からのオファーを受け取り、その内容を検討しました。しかしシーズン開幕まで時間が短く、この春にカスパー・ユンカーを売却した場合、代わる戦力を見つける時間がなく、オファーは十分興味深いものだとは言えませんでした。彼がスペインのキャンプ地を離れましたが、無論受け入れられません。私たちはカスパーが新しい冒険を望んでいることを理解しているものの、オファーは適切でなければいけません」
強烈な左足のショットを武器にする元U-21デンマーク代表のストライカーは、海を渡ることができるのか。日本の移籍期限まであと数日……ユンカーとオファーの行方に、日本からも注目が集まる。
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[文:サカノワ編集グループ]