18歳デビュー浦和の荻原拓也が試合後、手にしていた両親への”プレゼント”
ドリブルで切れ込む浦和の荻原拓也(写真はルヴァンカップG大阪戦より)。写真:徳原隆元/(C)Takamoto TOKUHARA
特別だった舞台。乳酸が溜まりパニック状態で空回り…ほろ苦いリーグ初陣に。
浦和レッズのルーキー荻原拓也が3月18日の4節・横浜F・マリノス戦で、リーグデビューを果たした。1点リードされて迎えた86分に興梠慎三と交代。左ウイングに入ると積極的にクロスを放ち、ゴール前へ出てシュートまで持ち込むなど攻撃に絡んだものの、得点は奪えなかった。
浦和ユースから今季昇格したレフティは、すでにルヴァンカップのグループステージで2試合に出場。1節の名古屋グランパス戦でさっそく2ゴールを決めて脚光を浴びた。
そしてこの横浜戦で待望のリーグ戦初出場のチャンスを掴む。しかし「空回りだけはしないようにと思ったけど、空回りしてしまったというか……」と気持ちと体が噛み合わなかった。
試合後、荻原は悔しそうに振り返った。
「短時間で乳酸が溜まりパニックな状態になってしまいました。ただ、これも経験として、しっかりポジティブに捉えて生かしていきたいです」
リーグ戦のホームスタジアム。それはやはり特別な舞台だった。「上手く表現できませんでした。短い時間で、自分のいいところを表現できなければ……」と、ルヴァンカップでは先発で2試合に出場していたが、今後増える可能性のある「切り札」としての心構えも身に付けようとしていた。
キャンプからの好調が評価され、開幕から浦和の公式戦6試合中3試合に出場。さらに10月のU-19アジア選手権(2019年開催のU-20ワールドカップ・ポーランド大会アジア予選)に向けたU-19日本代表にも選ばれ、現在インドネシアへの遠征に帯同している。
「思っていた以上に試合に絡めて順調な入り方ができて、代表にも選ばれ、とにかく成長していきたいです。再びリーグ戦に絡んで、このチームの悪い状況を変えていきたい。若いし、ケガだけはせず、たくさん練習して、試合して強くなりたいです」
活力が漲っている。左足のキックの鋭さはすでにチーム内でも認められている。左サイドバックが主戦場だが、現在は一列前で起用されており、次はチームを勝利に導くリーグ初ゴールが待望される。
横浜FM戦のあとにチームバスへ乗り込む際、荻原は先発メンバーと試合結果の公式記録を綺麗に折りたたんで手にしていた。
「初出場なので、(記念に)親へ渡します」
若きアスリートは少し頬を緩ませ、18歳の優しい少年の表情を浮かべた。
取材・文:塚越始
text by Hajime TSUKAKOSHI